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 岐阜県各務原市の世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」が取り組む「地下伏流水を再現した飼育設備によるマホロバサンショウウオの繁殖」が飼育動物の環境を豊かにする試みに贈られる「エンリッチメント大賞2020」の技術賞に選ばれた。NPO法人「市民ZOOネットワーク」(東京)が主催し、全国から応募があった28件から選ばれた。

 マホロバサンショウウオは野生での生態が分からないことが多く、飼育下での繁殖が極めて困難とされる。水族館は2009年から繁殖に挑戦。野外での実地調査で得た産卵環境を参考に日照時間や水温を調整して地下伏流水を再現。暗幕で遮光した繁殖場所を用意するなど、繁殖環境を整えた。

 11年に初の繁殖に成功してからは毎年繁殖させることで、適した水温や地下に潜る繁殖行動、産卵数、幼生の成長過程など学術的に貴重なデータを得ることが出来ている。流水産卵性の小型サンショウウオの飼育環境を整備し、地下に潜り込む繁殖行動を水槽の中で再現、繁殖に成功したことが高く評価されたという。

 中部・近畿地方に生息するマホロバサンショウウオは体長約10センチ。県のレッドデータブックで絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されている。同水族館では「2世代目」「3世代目」の繁殖にも成功。展示のための個体を維持することができ、野外から採取し続ける必要がなくなっている。

 飼育担当の田上正隆学芸員は「よい飼育環境を整えるとともに、野外で観察することが非常に難しい小さな生物の営みを水族館がいつでも間近に観察できる場所としてあり続けられるように努力していきたい」と話す。

 エンリッチメント大賞は飼育動物の生活環境を豊かにするさまざまな工夫や、試みである「環境エンリッチメント」を推進するため、02年度に創設された。12月5日にオンラインで表彰式が開催される。(松永佳伸)

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