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 「炎の転校生」や「アオイホノオ」で知られる札幌市在住の漫画家・島本和彦(本名・手塚秀彦)さん(59)経営のレンタルショップが今月8日、25年の歴史に幕を下ろした。店内に描かれた人気漫画家の直筆イラストで知られた「少年漫画の聖地」の閉店をファンらは惜しんだ。

 道央道札幌インターチェンジ近くの「TSUTAYA 札幌インター店」(札幌市白石区)。閉店約1週間前の10月29日、店舗奥の壁の前で足を止める人たちがいた。見つめる先には、「名探偵コナン」や「うしおととら」のキャラクターが生き生きと描かれ、その下には「青山剛昌」「あだち充」「藤田和日郎」「横山裕二」などのサインが。札幌市の男性は壁の写真を撮影し、「島本先生と少年漫画が好きなので記念になりました」。遠く関東から訪れた人もいた。

 この店は1996年、島本さんの父親が始めた。開店後の約10年間、島本さんは2階の事務所スペースを仕事部屋として漫画を執筆。店での日夜の執筆活動をモデルに「吼(ほ)えろペン」という作品を描き上げた。「十数年前まではここに住んでいました。夜中に1階からビデオを拝借して、行き詰まったときによく見ていました」と島本さん。

 島本さんは6年前から店の経営にも関わり、昨年社長に就任。昨秋、漫画家仲間の青山さん、あだちさんから「帯広に行くから札幌にも寄る」と連絡があり、2人の漫画家は店の壁に約10分でイラストを描き上げた。SNSで話題となり、写真を撮りに来る人も増えた。「閉店直前じゃなくて、もっと早く頼めばよかったかな」と島本さんは笑う。

 コロナ禍でも売り上げは堅調だったが、借地の更新時期も重なり、将来を考えて店を閉めることに。閉店のニュースに、SNSでは「残念」や「ありがとう」という書き込みが相次いだ。島本さんにもファンから「閉店前に必ず行きます」と声が届いた。

 25年の思い出を残そうと漫画家・島本和彦も動き出した。店の歩みについて漫画を執筆中で、12月19日発売の「月刊サンデーGX」(小学館)で発表する。10月末には「吼えろペン」の主人公・炎尾燃と「25年の長い間ありがとうございました」というメッセージを自ら壁に描いた。島本さんは「この店と支えてくれたお客さんに25年間の感謝を伝えたかった」と話した。(原田達矢)