「つながるバス停」でにぎわいを 図書室やカフェも併設

野上隆生
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 福岡県八女市中心部の西鉄バス福島停留所に、小さな図書室やカフェコーナーを併設した交流拠点施設「つながるバス停」がオープンした。この施設や市内店舗で使える地域通貨「まちのコイン」も同時に利用が始まった。人口減で地域コミュニティーの衰退が進むなか、「バス停」と「コイン」で利用者同士をつなげ、持続的なにぎわいを生むきっかけにしたいという。

 人口減や過疎に悩む市が解決策のアイデアを公募したところ、地域コミュニティーの活性化に取り組むIT企業「面白法人カヤック」(神奈川県鎌倉市)が、バス停のコンセプトとコイン導入の企画を提案。市と共同で取り組むことになった。

 「バス停」は、西鉄バス久留米久留米市)が福島停留所の老朽化に伴い、約3千万円かけて建設。八女市が借りて運営する。広さは約30平方メートルで、内外に八女杉を使った。

 ライブラリーには、待ち時間に読める小説や趣味の本が100冊近く並ぶ。八女出身の作家や八女にまつわる本、通学でバス停を利用する地元高校生が選んだ本もある。

 貸し出しはしない代わりに、簡単に続きが読めるように30種類の人の形をしたしおりを用意。自分のしおりに名前やニックネーム、職業、SNSのアカウント、よく行く八女市内の店を書き込むことができ、読書を通じて利用者同士がつながる仕掛けを作った。

 八女の注目人物が薦める本を紹介するコーナーも月替わりで置くほか、平日の日中は日替わり弁当の販売をするなど、バスの乗客以外にも利用客を広げる。

 「まちコイン」は、スマートフォンのアプリを通じて入手する地域通貨。加盟店への入店や街の清掃活動への参加など、街とつながる活動で入手できる。通貨単位は八女市が移住者を応援するプロジェクト「八女のロマン」から取って、「ロマン」とした。換金はできないが、加盟店で店の裏メニューを教えてもらう、神社で御朱印がもらえる、などのサービスを受けられる。

 バス停のカフェコーナーには、県立八女農業高校の生徒が減農薬で栽培、製造した水出し緑茶を用意。マイボトルを持参すれば、「50ロマン」で飲むことができる。

 トイレやエアコン、WiFi(ワイファイ)も備え、筑後地域を走る堀川バスの停留所にも近く、利便性が向上する。

 バス停内で情報発信などの仕事を担っている地域おこし協力隊の原七海華(はらなみか)さん(23)は同市黒木町出身。「以前は『八女には何もない』と思っていたけど、見直しました。ここで多くの人と出会い、八女の人の温かさも感じました。ここのことはまだまだ知られていないので、今後、イベントなども仕掛け、広く多くの人を八女とつなげたい」と話した。野上隆生