[PR]

 紀元前、初代神武天皇が「神武東遷」の際に滞在したと伝えられる笠岡諸島の高島で、住民有志による神武天皇の像が完成した。高さは約5メートル。島が昨年に日本遺産の構成文化財に選ばれたのを機に、新たな観光資源として手作りされた。

 東遷伝説は古事記や日本書紀にある。紀元前、神武天皇は国家統治のため日向から大和へ船を進め、軍船や食糧の備えのため高島に滞在し、吉備の国との交流も進めたとされる。

 像は島内の高島神社境内に建てられた。制作の中心は河田浩二さん(86)で、土器など郷土資料を集めた「高島おきよ館」の設立者。河田さんは「たびたび夢枕に立った天皇に『像を建ててくれ』と頼まれた」と話す。5月に作業を始め、鉄筋を通した発泡スチロールにガラス繊維を巻くなどして10月に完成した。

 「顔は夢で見た精悍(せいかん)さを表した」と河田さん。左手は腰に差した剣を握り、腕には大和までの案内役を務めたヤタガラスを乗せ、本土のある北方を見守るように立つ。

 高島は昨年5月、「石の島」として北木島などと合わせ日本遺産の構成文化財に。一方で住民は9月末時点で76人。6日にあった除幕式では約30人が祝った。河田さんは「市民をお守りし、観光振興にもつながれば」との思いを像に託した。(小沢邦男)