南から風まかせ ソテツを食べるクロマダラソテツシジミ

米山正寛
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 ソテツの新芽に小さなクロマダラソテツシジミが訪れ、卵を産むことがある。本州や四国、九州で十数年前から見られるようになった。幼虫はソテツの若葉を食べて育ち、成虫となって繁殖を繰り返す。もともとは南方系の蝶(ちょう)なので、まだ越冬するには至っていない。

 国内では1992年に沖縄で初めて報告された。大阪府立大の平井規央教授(環境動物昆虫学)は「2007年から本州でも見られ始めた。当時、越冬北限の台湾でソテツの植栽が増えたのが原因らしい」と話す。そこからテツの新芽に小さなクロマダラソテツシジミが訪れ、卵を産むことがある。本州や四国、九州で十数年前から見られるようになった。幼虫はソテツの若葉を食べて育ち、成虫となって繁殖を繰り返す。

 風まかせなので出現状況は年によって違うが、今年は多いらしい。千葉県農林総合研究センター暖地園芸研究所の河名利幸所長によると、県南部のソテツ産地では09年以来11年ぶりに被害が報告された。梅雨の期間が長く、前線に向けて南からの風が吹き込み続けた影響なのかもしれない。

 南方系のクロマダラソテツシジミが本州などに現れるようになったことを、地球温暖化の影響と見る向きもある。しかし、風に乗って大陸方面から日本に飛来し、越冬できずに死滅する昆虫としては、トビイロウンカやウスバキトンボなどの例が古くから知られており、まだ今の時点では結びつけにくい。ただ都市部での高温傾向が、国内でこの蝶の世代交代を促していることは考えられ、やがて国内で越冬する事態になる可能性は否定できないだろう。(米山正寛)