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 日本学術会議の任命拒否問題を議論するシンポジウム(平和と憲法をまもる信州大学人の会主催)が10日夜にオンラインで開かれた。任命されなかった会員候補6人のうちの1人、小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)も参加。「学問の自由を侵害し、法の支配に反する菅義偉首相の態度は一刻も早く改められなければならない」と訴えた。

 同会議総会の2日前に事務局長から電話で、理由を示されずに任命されないことが伝えられたという小沢教授。「日本学術会議法の趣旨を逸脱し、人事や活動の独立性がなくなれば学問の自由は果たされなくなる」と指摘し、「法的根拠のない支離滅裂な理由を次々と持ち出して自分のしたことを正当化する首相の態度は法治主義に反し、議会制民主主義を愚弄(ぐろう)するものだ」と断じた。

 かつて同会議の「核のごみ」をめぐる検討委員会のメンバーとして提言を出したことにも触れ、「国民の生活に密接にかかわる問題を様々に議論している学術会議の活動に関心をもってほしい」と訴えた。

 長野大の久保木匡介教授(政治学)は、安全保障法制や特定秘密保護法などに見られた安倍政権の憲法規範の破壊と説明責任の放棄という政治手法が継続していると指摘。学問の自由と言論、思想・良心、表現などの自由は密接に関わっているとし、「民主主義を空洞化・衰退させないためにも問題の本質と深刻さを広く市民に訴え、共有していくことが大事」と話した。

 元会員の信州大の久保亨特任教授(歴史学)は、日本学術会議法の条文やかつての大臣答弁などを示しながら「首相には重大な違法・違憲行為への自覚がない。その居直りに危険性を感じる」と批判。自身も17年に会員候補の選考に加わった経験から「『(学術会議会長と内閣府との)一定の調整』という首相の言葉に、ウソを言うなと。他から圧力がかからないように長い期間をかけて部外秘でやっている」と説明した。

 この公開シンポは、集団的自衛権を容認した安保法制の違憲性を問い、信大の教員らを中心に2015年から月1回のペースで開かれ、これが58回目。コロナ禍で半年以上休止していたが、10月からオンラインで再開した。(北沢祐生)

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