[PR]

 奈良県の荒井正吾知事は11日の定例記者会見で、「財政状況が特に悪い県内5市町に、『重症警報』を出す」と述べた。「重症警報」に法的根拠はないが、名指しされたのは奈良市、五條市、宇陀市、平群町、河合町。県は、独自基準に基づき、自治体名を挙げて財政改善を促す構えだ。

 県は独自に4項目の財政指標を選び、県内の自治体を調べた。2項目以上でワースト5に入った3市2町を「重症」とした。指標は、①財政の硬直度を示す「経常収支比率」②資金繰りの程度を表す「実質公債費比率」③将来財政を圧迫する可能性を示す「将来負担比率」④緊急の支出が生じた場合に備える積立金を表す「基金残高比率」。

 今後、県は5市町それぞれと勉強会を開く意向で、共同で具体的な改善策を考え、首長に提案したいという。県が財政支援をすることも考えているという。

 荒井知事は「自発的な改善努力がないことは、(県側の)いらだちということになっている。資料も見ていただき、首長にも考えてもらいたい」と話した。

 県によると、県内市町村の財政が健全化することは県側にもメリットがあるとする。市町村の財政状況が悪いと、県が市町村と共同で住民サービスの向上に取り組む事業などの実施も難しくなるという。

 奈良市の仲川げん市長は取材に「(指標は)データとして受け止めるが、一方でこれまで改善に努めてきた経緯を時系列で検証することも大事ではないか。奈良市は税収などで改善途上にある。勉強会で手伝っていただけるなら、ぜひ財政再建の方策を一緒に練っていきたい」と話した。

 また、県は昨年度の県内39市町村の普通会計決算をまとめ、同日に発表した。経常収支比率は平均98・0%(前年度比0・4ポイント減、全国平均93・6%)だった。経常収支比率は、人件費や扶助費、公債費など毎年度経常的に支出される経費の割合を示したもの。数値が高いほど新規事業などに投資する余裕がないため、財政が硬直しているとされる。県内21市町村が前年度より改善し、17市町村が悪化した。東吉野村は変動しなかった。

 経常収支比率が100%を超えていたのは、黒滝村(105・8%)▽御所市(104・3%)▽天理市(103・9%)▽宇陀市(103・1%)▽河合町(102・2%)▽桜井市(101・3%)の6市町村。最も低かったのは、御杖村(82・5%)▽曽爾村(84・8%)▽川西町(86・3%)の順。(平田瑛美、福岡龍一郎)

関連ニュース