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 ベトナムと韓国が経済的な結びつきを強めている。韓国のグローバル企業の進出に合わせて両国間の人の往来も増えてきた。ベトナムに滞在する韓国人は20万人を超え、在留日本人の10倍に上る。「働きに行くなら日本よりも韓国」。労働者として海外に働きに出るベトナム人からはそんな声も聞こえる。

 「競争が激しい韓国でいきなり飲食店を開くのは難しい。それよりも発展の可能性のあるベトナムでまずは挑戦してみようと思った」。ハノイの「コリアタウン」と呼ばれるミディン地区で居酒屋の店長を務める李俊雨(イジュンウ)さん(34)は2018年9月からベトナムでシェフとして働いている。

 もともと、日本との出会いがきっかけで料理人になった。高校生の頃はソウル市内の大学を目指していたが、入試前日に試験会場の下見に行った帰りに交通事故に遭った。痛みを我慢して受験したものの満足のいく結果は得られず、海外に出ようと決意。高校卒業後に約2年の兵役義務を果たし、07年にカナダに留学した。約1年後に米国に移った時に日本食のレストランでアルバイトをしたことで、日本に関心を持つようになった。

 父に援助を頼んで09年から3年間、日本で暮らした。そのうち2年は東京都内の調理師専門学校に通い、料理を学んだ。今では日本語を使いこなし、店には日本人の常連客もいる。「日本は韓国ほど競争が激しくない。みんなが親切でやさしい世界だと感じた」と振り返る。

 日本から帰国し、ソウル市内の日本料理店などを経て肉料理を学ぼうと焼き肉店で働いていた時に、ハノイに新しくオープンするレストランのシェフとしてスカウトされた。他の国に行く誘いもあったが、新婚旅行で来て良いイメージを抱いたベトナムを選んだ。

 海外で働く希望がかない、喜んでハノイに来たが、暮らしは順風満帆ではなかった。最初にスカウトされた店は3カ月で辞めることになり、別の店に移った。ようやく1年が過ぎた今年1月下旬、ベトナムでも新型コロナウイルスの感染が拡大。客足が途絶えて店は休業し、辞めざるを得なくなった。

 ハノイの別の飲食店で働いていた妻からは「自分が面倒を見るから好きなことをして」と言ってもらったが、日が経つにつれて自分を責める気持ちが湧いた。「妻は働いているのに、自分は休み。何をしているのだろうと思った」

 とにかくできることをやろう。そう決めて韓国人コミュニティーの中でいろいろな人に会いに出かけた。飲食店の開業を考えている韓国人の実業家と知り合い、8月に今の居酒屋を一緒に立ち上げた。

 店の名前は日本語から取った「…

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