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 北陸新幹線金沢―敦賀間の開業時期が予定の2023年春より約1年半遅れ、事業費も2880億円増える見通しとなったことについて、建設主体の鉄道・運輸機構の北村隆志理事長と国土交通省の上原淳鉄道局長が12日、福井県庁を訪れ、杉本達治知事らに経緯などを説明した。知事は「了承できない」との前提を強調したうえ、工期の短縮や地方の負担軽減などを求めた。

 面談で北村理事長は計画の変更について「県の全面的なご協力を頂きながら申し訳ない」と謝罪。「国や専門家の指導を頂いて年末まで精査し、工期は一日でも遅延を抑える、工事費は一円でも抑えるよう取り組んでいく」と約束した。

 また、敦賀駅周辺の工事が約1年半、福井・石川県境の加賀トンネルの工事が約10カ月遅れる見込みになっていることや、工事費の増額について説明した。

 敦賀駅周辺については、昨夏から遅延の恐れがあったが、工法の工夫で挽回(ばんかい)できると考えていたという。しかし今年7月に2年遅れる見立てになり、国交省に報告。同省の助言も得て、1年半の遅延になった。加賀トンネルは3月に底部のひび割れを確認したが、追加工事に約10カ月かかることを確認して同省に伝えたのは先週末だという。

 これに対し、杉本知事は遅延の情報が地元に一切伝えられなかったとして、機構と同省を批判。「遅れは急に生じない。いつから遅れているのか明らかにしてほしい」と述べ、同省が設ける検証委員会の役割に期待した。さらに、事業費増額の要因に県の用地取得の遅れが挙げられていることにも強く反発。機構による用地測量の遅れが「大きな要因だ」と指摘した。

 面談後の取材に、杉本知事は「話を聞けば聞くほど、もっとこうできたのではないかという思いと憤りが強くなった。機構のガバナンスや国交省の監督体制に課題があるとも感じた。検証委員会で原因と責任の所在が明らかになると思う」と話した。

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 福井県議会は12日午後、全員協議会を開き、国交省の江口秀二技術審議官、鉄道・運輸機構の小島滋副理事長から工期の遅れなどについて説明を受けた。最大会派の県会自民党が「受け入れられない」として中途退席し、閉会になった。

 冒頭で畑孝幸議長は、午前中に杉本知事とともに国交省と機構から説明を受けたと報告。「県議会としては予定通りの開業を求めるスタンスに変わりはない。地元負担の増加は到底受け入れられない」と述べた。

 小島副理事長が「県議会の絶大な支援の下で工事を進めてきたが力及ばず、工事の完成が開業に間に合わなくなった」と頭を下げ、経緯を報告。「一日でも工期の遅延を抑え、一円でも事業費の増額を抑えるよう最大限の努力をする」と声を震わせた。

 質疑では、県会自民党の山岸猛夫会長が「政府与党の申し合わせが守られないことは前代未聞。到底受け入れられない」「工事の逼迫(ひっぱく)が深刻になるまで、地元に全く説明が無かったことに深い憤りと不信感を抱いている」と厳しい口調で述べた。その上で「我が会派はこれで失礼する」と、同会派の出席議員22人が退席。定足数(18人)を割ったため、閉会となった。

 江口審議官は取材に「(退席は)強い憤りの表れだと思う。真摯(しんし)に受け止めたい」と話した。(堀川敬部、佐藤孝之)

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