拡大する写真・図版現代の性教育について話すシオリーヌこと大貫詩織さん=2020年11月9日午後、神奈川県内、内田光撮影

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 コンドームが破れた。性被害にあった。そんな時に飲む緊急避妊薬(アフターピル)を入手するには医師の処方箋(せん)が必要だが、市販薬として解禁すべきかどうかを国が検討している。ユーチューブで性教育について発信している助産師のシオリーヌさん(28)は、日本のざんねんな現状がこの動きを阻んでいるとし、こう訴える。

 「緊急避妊薬は、下ネタではありません」

1991年生まれ。性教育ユーチューバー、助産師。本名・大貫詩織。「性の話をもっと気軽にオープンに」がキャッチフレーズ。12月に性についてまとめた著書「CHOICE」(イースト・プレス)を発売予定。

 ――そもそもなぜ、アフターピルの市販化が必要なのでしょう。

 「ユーチューブを見てくれるのは10代前半から20代前半が中心です。この世代にとって、そもそも産婦人科を受診することのハードルが高いんです。ましてや緊急避妊薬となると、性的な関係を持つパートナーがいることや避妊に失敗したことを金銭的な事情などがあれば親に伝えないといけない」

 「どうにかして病院に行ったとしても、自由診療だから診察代も含めると、1万円とか2万円とか費用がかかる。その費用を考え、受診をあきらめる子もいます」

 ――日本産婦人科医会の男性幹部が「容易に入手できると、じゃあ次も使えばと安易な考えに流れることが心配」と発言し、物議をかもしました。

 「配慮に欠ける発言だと感じました。若い女性が、性に関する知識が足りていないと言われていましたが、若い女性だけの責任じゃないですよね? 性教育を受けていないのは私たち大人も同じです。知識を提供していない側の責任です」

DMに下半身の写真

 ――「若い女性」対「おじさん男性」の構図ですか?

 「若い女性だけじゃないですよ。アフターピルを使う対象には、幅広い年齢層の女性がいます。でも、こう言うと悲しいですが、女性の話はそもそも聞いてもらえないことも多いです。声をあげてくれる仲間のなかに男性がいるのは、すごく効果的だとも思っています」

 ――伊藤詩織さんの件や#MeToo運動もあり、少しずつ変わってきているのでは。

 「変わらないですね。声をあげている女性というだけで『生意気』『そんな言い方だから聞いてもらえない』とたたかれます。『ブス』とか『ババア』とか、容姿へのバッシングもひどいです」

 「性の話をしているだけで、性的な欲求をぶつけてもいい相手だと捉えられることも多々あります。セクハラのようなコメントは山ほどくるし、ダイレクトメッセージに、いきなり下半身の写真が送られてくることもあります。こちらは名前も顔も出している半面、相手は匿名なのでなんでも言いたい放題。フェアじゃないと感じることも多いです」

 ――日本産婦人科医会は組織としても、市販薬解禁に反対しています。

 「アフターピルは、WHO(世界保健機関)もその安全性を保証しています。産婦人科医有志の会のアンケートでは66.6%が市販化に賛成という結果もあります。産婦人科医の総意ではなく、トップの人たちの意向なのかなーと思って見ています」

 「ただ、産婦人科医は医療者として、女性の自由な意思決定や権利に、一番敏感でなければならない立場です。そういう方たちが女性の権利になかなか理解を示さないのはとても残念です」

 ――とはいえ、産婦人科医だけでなく、「安易」派が一定数、いるのも日本社会の現実です。

 「人権意識の低さでしょうね。…

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