新型コロナウイルスに感染し、回復したのに、再び感染してしまうケースが世界各地から報告されています。こうした「再感染」はなぜ起こるのか。回復した人の体内にできるたんぱく質「抗体」では再感染を防げないのか。米エール大教授で感染症と免疫について詳しい岩崎明子教授にオンラインで聞きました。
――新型コロナへの再感染はどれくらい起きているのですか。
学術雑誌への論文として報告されているのは、米国の男性、香港の男性、ベルギーの女性、エクアドルの男性の4例です。ほかにも地元でのニュースなどではあるようですが、正確なところはつかめません。
論文報告されたケースでは、いずれも1度目と2度目とでそれぞれ患者から採取したウイルスの全遺伝情報(ゲノム)を調べて、塩基配列といういわば「文字」の違いから、別々のウイルスに感染したことが確認されています。新型コロナの遺伝情報は時間がたつにつれて少しずつ変化していくので、塩基配列を比べれば同じウイルスではないことが判断できます。
――再感染が起きることは珍しくないのでしょうか。
これまで確認された事例では、ほとんどが発熱やせきなどの症状が起きたために再感染がわかりました。でも、新型コロナでは感染しても症状の出ないことがよくあります。
再感染しても、無症状なので気付かれていない例はたくさんあるのではないかと予測しています。香港の男性は無症状でしたが、スペインから英国経由で帰国した際に、空港で検査を受けて判明しました。
免疫できても効き目がなくなる?
――再感染はなぜ起きるのですか。
麻疹などでは、一度かかると…