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 社会党が生まれて75年、社民党に党名を変えて24年という歴史をもつ政党が揺らいでいる。わずか4人の国会議員は、最大野党の立憲民主党に合流すべきか、社民党に残るべきかという議論を続けてきたが、14日の党大会で答えをだす。党の分裂は避けられない見通しだ。伝統ある政党はなぜ、分裂の道を進もうとしているのか。

拡大する写真・図版社民党の福島党首

「出て行くおとっつぁん なぜ拍手で?」

 「家族を置いて出て行くおとっつぁんを、残された家族がなぜ拍手で見送らなきゃいけないのか」

 10月21日、党常任幹事会を終えて部屋から出てきた福島瑞穂党首は周囲に怒りをぶちまけた。

 立憲に合流する人も、党に残る人も、それぞれの選択を「理解し合う」という議案を党大会に諮ると、執行部内で意見が出たからだ。その日は決定が見送られたものの、翌日、その案が決まった。党の分裂は決定的となった。

 国会議員4人のうち、合流に反対するのは福島氏だけだ。吉田忠智幹事長や吉川元衆院議員、照屋寛徳衆院議員は党を離れる可能性が高く、一部は立憲への合流を視野に入れている。

「社会民主主義政党を残すべきだ」福島氏

 昨年12月、立憲が社民党に合流を呼びかけた。福島氏は「唯一の社会民主主義政党を残すべきだ」として、合流に一貫して反対の立場をとった。地方組織の中にも「党名をなくすべきではない」といった声は根強い。新潟県連合のある幹部は「反原発闘争や水俣病闘争など地域での社会運動の歴史がある。社民党の存在をなくすべきではない」として、福島氏に同調する。

 一方で、合流推進派の事情も切実だ。

「議員が1人もいなくなったら相手にされない」党幹部

 党を取り巻く危機的な状況が背景にある。

 公職選挙法では、政党でいられる条件として「国会議員が5人以上」か「直近の衆院選か参院選で2%以上の得票率」と定められている。昨年の参院選比例区で得票率がギリギリ2%を超えたため、2022年までは政党を維持できるが、その後の展望は厳しいままだ。

 党幹部の一人は「国会議員がいなくなったら、立憲民主党に相手にもされなくなる」と危機感が強い。

 社民の地方組織が強い大分や沖縄、さらに国政選挙での野党共闘がうまくいっている東北6県は合流に前向きだ。宮城県連合の幹部は「野党共闘で立憲と信頼関係ができた。自公政権に対し、野党勢力がどう対抗できるかが大事だ」と語る。

 残留か、合流か。対立が深まるなか、14日の党大会を迎える。党執行部は、一度は党を解党する案を党大会に諮ろうとしたが、福島氏らの反対にあって断念。分裂となっても互いに「理解し合う」という案に落ち着いたものの、分裂の流れは止まらない状況だ。(三輪さち子、小林豪)

合流の背景に自治労

 社民の一部議員と立憲が合流する背景には、地方公務員ら約79万人を抱える連合傘下の自治労の存在がある。両党が支援を受ける産業別組織(産別)では最大規模。脱原発や護憲などの支柱にもなっている。

拡大する写真・図版会合で演説する社民党の吉田忠智氏=2014年8月、大分県別府市、本人提供

 昨夏の参院選全国比例では、立憲の岸真紀子氏(約15万7千票)と社民の吉田忠智氏(約14万9千票)を、自治労の組織内候補として当選させた。

 今回の社民党大会を機に支援先が立憲に一本化されれば、大量の組織票が立憲に移るため、立憲幹部は「組織が来てくれるのは本当に大きい」と歓迎する。組合員が減少傾向にある自治労としても、組織強化につながる一本化は長年の悲願でもある。

 ただ、地方組織のレベルでは、すんなりと一本化するとは限らない。一部の地域では、長年支援してきた社民党との関係が深く、「急に立憲に切り替えるわけにはいかない」という声もある。