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 妖怪書家として活躍する奈良市の逢香(おうか)さん(26)の個展が金峯山寺(奈良県吉野町)で開かれている。各地の芸術家らの作品が奥大和で見られる芸術祭「MIND(マインド) TRAIL(トレイル)」の一環。逢香さんが奈良の墨で描いた七福神や福助など約10点が並ぶ。30日まで。

 逢香さんは6歳から書道を習い、奈良教育大学の学生のときに妖怪を描くようになった。江戸時代の絵が入った小説本「草双紙(くさぞうし)」の妖怪を見たことがきっかけだ。作品を描くときには奈良で作られた墨を使う。

 個展のタイトルは「ならのすみ」。コロナ禍を表現した作品がある。幅3メートルの「七福神のつぶやき」だ。疫病よけの妖怪アマビエの絵を毘沙門天が持つ。布袋が手にする体温計には37・5度と出ているが、布袋は「病気ではないぞ!」と強がる。「マスクで肌も荒れてきたわ……」と嘆くのは紅一点の弁財天だ。

 風刺画のような作品も並ぶ。「もうやめんか」という作品では、ちょんまげにはかま姿の福助がスマホをいじる。福助の上に添えた文章には「気がついたらすぐこれですよ」「福助もすっかりはまっちゃって こら、そんなにしちゃ 首と目がどうにかなっちゃいますよ」と書いた。

 逢香さんが目指すのは「クスッとした笑いを誘う現代の戯画」だ。妖怪を描き始めたころは、いかに怖がらせるかと考えていたが、2~3年前、大学時代に初めて見た草双紙の遊び心に満ちたユーモラスさを思い返したという。

 「小さな子どもからお年寄りまで、みんなに笑ってもらえる絵を描くほうが自分にあっている。コロナで暗くなった今、絵を見て楽しんでほしい」と話す。

 個展の会場は、金峯山寺の蔵王堂の奥にある蔵王権現本地堂。個展を見るには、蔵王堂で30日まで開かれている秘仏本尊の特別公開の拝観料1千円が必要。問い合わせは金峯山寺(0746・32・8371)。(岡田匠)

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