「4年後にまた出ればいい」トランプ支持者が今思うこと
「やっとトランプ政権を阻止できた。この瞬間を4年間ずっと待ってきた。ようやく熟睡できそうです。世界の強権的な指導者を好み、何かやらかすのではないかと心配でしたから」
米大統領選で民主党のバイデン前副大統領(77)が、共和党のトランプ大統領(74)を破ったことが確実になってから3日後。ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外で暮らす元炭鉱労働者、ポール・ジマーさん(65)は笑顔で話した。
長年の民主党支持者。4年前の大統領選では「石炭産業の復活」を掲げ、演台でヘルメットをかぶり、ショベルで石炭を掘るパフォーマンスをしたトランプ氏を支持した元同僚が多い。
だが、ジマーさんは「トランプは企業側の代弁者に過ぎず、炭鉱労働者の味方ではない。仲間の多くが惑わされていることが悲しい」と首を横に振る。
「ラストベルト(さびついた工業地帯)」にある同州は、今回も激戦だった。4年前の得票率はトランプ氏48・2%、民主党のクリントン氏47・5%で、今回はバイデン氏49・9%、トランプ氏49・0%だった。バイデン氏とトランプ氏の差は6万票あまりだ。
米国は都市部で民主党、地方で共和党が強い。バイデン氏が勝利したのは、都市部周辺の郊外で善戦したからだ。ピッツバーグを含むアレゲニー郡では、クリントン氏の得票率は55・9%だったが、バイデン氏は59・6%まで伸ばした。
ジマーさんの30代の娘夫婦も今回、トランプ氏支持をやめた。ジマーさんがかけてくれた電話で娘に理由を聞くと、「(民主党の副大統領候補)ハリスに女性初の副大統領になってほしかった」と話し、夫は「トランプは大統領になっても騒がしく、いつからか努めて無視するようになった」と語った。
都市近郊でのトランプ氏からの離反は他州も同様だ。「連日問題を引き起こす大統領の人格に耐えられない」(ミシガン州の50代白人女性)という具合だ。AP通信による有権者調査では、米国が「間違った方向」に向かっていると答えた人は60%に及び、うち79%がバイデン氏を、18%がトランプ氏を支持した。「正しい方向」とした有権者は39%で、その91%がトランプ氏を支持した。
都市部を離れるとトランプ、トランプ、トランプ…
だが、ペンシルベニア州でも郊外から地方へと進むと、全く異なる光景が広がる。庭先に残る、支持候補を表明する看板はトランプ、トランプ、トランプ……。同州ベッドフォード郡で運転中に数え始めたが、トランプ氏が100に達した時点で、バイデン氏はゼロ。同郡でのトランプ氏の得票率は83・5%で、前回の82・6%からわずかながら、上積みした。
ひときわ大きな看板を立てた…
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