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 月500円を払って本棚を借りて本を並べ、それぞれの「店主」が日替わりで店番をする古書店が今秋、大阪市阿倍野区の再開発ビル「あべのベルタ」の地下1階にオープンした。開店から3カ月ほどで45組が「出店」。空き店舗対策に悩むビルに、一風変わった古書店を開いた店主は「このビルで古書店が成立すれば、他業種の方も出店を考えてくれるかも」と願う。

 地下鉄谷町線の阿倍野駅改札を出て2分ほど歩くと、カラフルなカウンターが目に入る。高さ38センチ、幅35センチの棚に小説や文庫本が並び、それぞれに屋号がつく。棚は全部で123あり、出店者を募っている。

 午後1時に店が開く。10月中旬のある日、店番をしていた40代の女性は「ぺんぎん書店」の店主。大阪市内の書店で働き、休日を使って月に一度は店番に入る。「知らない本と出会えるのが魅力。棚は店主の頭の中を見ているみたいで、個性が隣り合っていて楽しい」と笑う。

 本棚をシェアする仕組みを考えたのは、阿倍野区文の里で古書店「居留守文庫」を営む岸本篤さん(48)。2017年7月に同じシステムの古書店「みつばち古書部」を文の里商店街に開くと、昨年末に104の棚がすべて埋まった。

 新たに出店を希望する人を受け入れたくて、場所を探した。付き合いのあった不動産会社に調べてもらい、あべのベルタの物件にたどり着いた。シャッターを閉じた店もあるが、駅直結のアクセスの良さが気に入った。

 「すごくもったいない場所。本好きの人が集まる可能性は高いはず」。店名の「書肆七味(しょししちみ)」には、さまざまなジャンルの本が集まるという意味が込められている。出店者は自分の本が売れたら、店番の日は売り上げの9割を受け取り、1割を書肆七味へ。店番をしない日は7割で、残り2割を当日の店番、1割を書肆七味に納める。

 哲学や思想の本を探しに店をよく訪れる常連の男性(69)は「アマゾンでも見つからない本を発見したときがうれしい。個人の古書店が集まるスタイルは良いアイデア。協力して出店しているみたいで面白い」と話す。

 ビルの店舗管理などを担当するあべのベルタ管理組合施設部会の福本茂次事務局長(69)は「足をとめて本を探す人をよく見かける。新しい形の本屋さんなので、立地を生かして成功してほしい」と期待を込める。

 店は関西スーパーのすぐそば。営業は午後7時まで。出店の申し込みは居留守文庫(06・6654・3932)へ。(小林太一)