坂田藤十郎さん「お初が人生変えた」 上方歌舞伎の華
山根由起子
人間国宝で上方歌舞伎の重鎮、女形、立ち役の両方を演じ芳醇(ほうじゅん)な味わいと若々しさを見せた坂田藤十郎さんが12日、死去した。73歳で231年ぶりに坂田藤十郎を襲名、83歳で当たり役の近松門左衛門作「曽根崎心中」のお初を演じ、通算上演1400回を超えるなど、晩年も意欲的に活動した。襲名時のインタビューでは「私はこれまで年齢を意識したことはありません」と語っていた。
立ち役、女形ともに優れ、「吉田屋」の伊左衛門、「封印切」「新口村」の忠兵衛、「伽羅先代萩」の政岡など幅広い当たり役で、当代最高峰の芸を見せた。
元禄時代に上方和事を確立した坂田藤十郎の名跡を2005年に四代目として襲名、歌舞伎界をリードしてきた。
江戸歌舞伎を代表する市川団十郎の名は受け継がれているのに、大阪の坂田藤十郎が絶えていたことも襲名の理由の一つだった。「歌舞伎も東京一極集中が進み、江戸一色になりつつある」と話していた。
当たり役、「曽根崎心中」の…