箱根予選会で快走、五輪も 順天堂大1年 三浦龍司さん
正月恒例の箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)以上に熾烈(しれつ)な戦いと言われるのが、シード校以外の大学が出場権(10校)を争う予選会だ。各校上位10人の合計タイムで競う。
10月に東京都の陸上自衛隊立川駐屯地内周回コース(21・0975キロ)で行われたその予選会で、1年生ながら日本人トップの全体5位の快走をみせた。順天堂大学の1位通過に大きく貢献した。
レースは外国人選手が先頭集団で引っ張り、各校の日本人選手が続く展開だった。仕掛けたのは20キロ過ぎ。ギアを上げ、先行する日本選手を次々とかわす。残り数百メートルで猛然とスパート、1時間1分41秒の好記録で流れを引き寄せた。
「初めて走るレースだったけど集中できた。ラスト勝負と思ってリズムよく冷静に走った。先輩たちが『速いな』『よくやった』『(1位は)お前のおかげだ』と言ってくれてうれしかった」と声を弾ませた。
その勢いのまま、11月の全日本大学駅伝では1区で区間新記録をマーク。トラック種目の3000メートル障害で日本歴代2位の記録を持ち、五輪候補に名乗りを上げていたがロードレースでも非凡な素質を見せた。「区間新は自信になりました」とほほ笑む。
小学校時代から島根県浜田市の陸上クラブに所属。親の都合で行けない日には泣くくらい、走るのが好きだった。長距離だけでなくハードルも積極的に練習したことが後の障害種目の基礎づくりに役立った。
12月に3000メートル障害の五輪代表選考がかかる日本陸上競技選手権を控える。優勝して参加標準記録(8分22秒00)を突破すれば代表内定だ。19秒台の自己記録からみて期待は大きい。
「五輪は大きな目標。注目され、多くの人も応援してくれるようになっているが、それを励みに、いつも通り自分の走りをしたい」(杉山高志)
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――正月の箱根ではどんな走りをしたいですか
1区を走り、全日本大学駅伝の時のように順大に流れを持ってきたいです。
――五輪を狙う3000メートル障害と大学駅伝。両立は大変ですね
トラック種目でもロード種目でも優勝をめざします。
――浜田東中学校時代も陸上部でした。思い出に残っていることは
練習をがんばって、記録も出たので全国大会にも出させてもらいましたが、予選落ちばかり。同級生なのに自分より速い選手たちを目の当たりにして、全国には速いやつがいるなあ、と体感できました。でも、だからこれからもがんばらなきゃと思えましたね。
――島根はどういうところですか
海がきれいで、ホタルがいて、それが当たり前の世界と思っていましたが、離れてみて、自然に恵まれたいいところだったなあと、実感しています。都会では味わえない自然のよさがありますね。それに加えて、地元の人たちはみんな温かいし、人と人との距離感が近い土地柄ですね。島根の人たちに応援してもらえてありがたいです。故郷の人たちが元気になれるような走りをしたいですね。
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みうら・りゅうじ 2002年生まれ。島根県浜田市立浜田東中学校、洛南高校(京都)を経て順天堂大学陸上競技部。7月、ホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会3000メートル障害で日本歴代2位の8分19秒37をマーク。
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