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 大阪府内在住の漫画家、浦部はいむさん(26)が、定時制の高校生たちの姿を描いた漫画「高校生を、もう一度」(イースト・プレス)が発売された。自らも定時制高校を卒業した。「いつでも人生チャレンジできるよと伝えたい」との思いを込めている。

 工場に勤めながら定時制高校に通う21歳の赤山七海(ななみ)が主人公だ。全日制高校に通っていたが、部活動でのトラブルが原因で退学した。

 仕事に疲れ、転職を考えた時、高卒資格を得るよう助言されて入学した。周囲に若い子が多く、最初は場違いだと思ったが、やがて中学生の娘を持つ32歳の木村さんらと仲良くなる。

 好成績を求められるプレッシャーで心身の調子を崩してしまったミズキや、いつもフードをかぶって授業中寝てばかりいる大槻君ら、個性的な同級生に囲まれた、楽しく、時に苦しい高校生活を描いている。

 浦部さんも、全日制高に通ったがクラスになじめず退学した。将来への不安を抱えつつ工場で働いていたが、定時制高校を舞台にしたTBS系テレビドラマ「夜のせんせい」を見て、「これなら通えるかも」。19歳で入学した。

 クラスでは自分が最年長だった。遠慮があり、同級生らと積極的に関わることができなかったが、「もっと心を開いて会話したらよかったという後悔もあって、七海は積極的なキャラにしました」という。

 定時制に通い続けられる子は多くない。作中でも同級生が退学する様子が描かれる。浦部さんの高校も1年時は3クラスだったが、2年では2クラスに。「でも、また行きたくなったらいける時も来ると思う」と浦部さんは考える。

 「定時制は成績が悪い人がいくところ」といった偏見や、「18歳以上で高校に通っているなんて」と否定的に見る風潮がある。浦部さんは「21歳のころ、登校前に同級生に会ったら、体操服を持ってることをすっごく笑われて。悔しくて、絶対卒業してやると思いました」という。

 在学中の20歳の頃、自分で描いた4ページの漫画を見せると、普段は毒舌な友人が「漫画家になるべきだ」とほめてくれた。プロを目指すきっかけになった。

 2017年のデビュー以来、アシスタントは雇わず、すべて1人でこなしている。「人付き合いがうまい方ではないので」と浦部さん。これまでに4冊の単行本を出した。

 「高校生を、もう一度」の企画は当初持ち込んだ出版社で軒並みボツを食らった。だがイースト・プレスの編集者は「再生の物語だ。人生やり直せるんだっていうメッセージがある」と高く評価してくれた。

 昨年同社のウェブメディアに連載され、今年10月に単行本として発売された。描き下ろしも加えた。

 読者からは「私も定時制に通ったので懐かしかった」「定時制って怖いところだと思ってた」といった感想が届いている。

 「高校に行けなくても、道はほかにもあるし、周りの人も助けてくれる。これを読んで、定時制高校に行くのもいいかなと思ってもらえたらうれしい」と浦部さんは願う。

 B6判、264ページ、800円(税別)。全国の書店で購入できる。(松尾慈子)