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 2位明石市、3位西宮市、5位尼崎市。関西の住みたい街ランキングかと思ったら、実はこれ、今年4月時点の待機児童数の全国ランキング。3市とも子育て世代に人気だが、保育需要の受け皿作りが追いついていない実態がある。(石田貴子)

 2013年の中学生以下の医療費に続き、16年には第2子以降の保育料を無料化。いずれも所得制限無しだ。明石市は「こどもを核としたまちづくり」を掲げ、子育て施策を次々と打ち出してきた。不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」の関西版「住みたい自治体」(市区郡別)で、今年は初めてトップ10に入った。

 人気を裏付けるように、市の人口は、転入が転出を上回る転入超過が続く。特に子育て世代の20~30代の転入超過が14年は497人だったが、18年は1331人、19年は924人。比例して18年の待機児童数は、全国最多の571人に。19年と今年はともに全国2位だった。

 5年前に明石市に引っ越してきた女性会社員(33)は、子ども2人分の保活中だ。対象年齢が2歳までの小規模保育所に通う長女と、長女とは別の認可外保育所に通う長男がいる。2年前の長女の保活で、就学前まで通える認可保育所は落選。3歳で再び保活をすることになった。「子育て施策を充実するなら受け皿も用意して欲しい」

 市は今春の入所分として、保育所新設などで受け入れ枠を約400人増やしたが、「申し込みが予想以上だった」と市の担当者。公園内に保育所を設置するなど来春入所向けに約1500人の受け入れ増を目指しているという。

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 今年の関西版「住みたい自治体」で3年連続1位となった西宮市。神戸と大阪に近いベッドタウンという地の利が人気を支えている。

 市によると、幼稚園に通わせる人が多い地域性があったが、働く女性が増え、ここ数年で保育所入所を希望する人の割合が大幅に増加。待機児童数ランキングも16年は33位、17年は17位だったが、18年にトップ5入り。ここ3年間は明石市と共に「常連」となった。

 大阪や神戸に出るのにも便利で子育てしやすい――そんなイメージから、西宮市の30代女性は2歳の娘を出産後、東京から転居してきた。今春から大阪市内の職場に復帰すべく認可保育所10カ所に申し込んだが、結果は全滅。育休を延長せざるをえなかった。

 今は娘を0~2歳が対象の認可外保育所に通わせる。来春の認可保育所への入所を目指し申請を続けているが、「絶望的な感じ。なんでここに住むことにしちゃったんだろう」。幼稚園の預かり保育を視野に今後も保活を続ける。

 市の担当者は「待機児童が増え始めた15年から受け入れ枠を1400人以上増やした。特に19年4月入所分だけでも約680人増やしたが、整備が追いついていない」と釈明する。

 人気の街ゆえの苦しさがある。保育所の需要が特に高いのは阪急神戸線の西宮北口駅と夙川駅近く。だが両駅は「SUUMO」の関西版「住みたい街(駅)」で今年は1位と6位。地価も高くてまとまった用地が確保できず、新設は難しい。

 市は国に特区申請し、ニーズが高い1~3歳までを保育する小規模保育所を来年4月に9カ所整備する。空き家やビルの一室を改修するなどすれば、整備期間が短くて済むメリットがあるためだ。

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 尼崎市は関西版「住みたい自治体」では今年19位だが、テレビ大阪による「関西住みたい街ランキング2019」では5位に選ばれたこともある。

 JR尼崎駅前の再開発で2009年に複合商業施設がオープンするなど、イメージが向上。16年にはJR塚口駅前に計約1200戸のマンション群を含む新街区が街開き。マンション建設や住宅開発が続く。

 新住民の流入は続き、待機児童数の順位は18年の30位から、19年の18位、今年は5位に。特にファミリー層が多く、次々とマンション建設が進む阪急神戸線の園田駅から塚口駅までの「園田地域」に待機児童の4割が集中している。

 今春、認可保育所の定員を約330人増やしたが追いつかず、定員以上の子どもを受け入れる「弾力枠」を240人程度見込んでいた。しかし実際に弾力枠で受け入れられたのは、その半数を割り込んだという。