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 7~9月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(4~6月)より5・0%増えた。このペースが1年続くと仮定した年率換算では21・4%増。コロナ危機が本格化し、戦後最悪の年率28・8%減(改定値)に落ち込んだ前期からの反動で、比較可能な1980年以降で最大の伸び率となった。ただ、水準で見れば取り戻したのは前期に減った分の半分余りで、回復は力強さを欠いている。

 内閣府が16日発表した。プラス成長は、消費増税直前の昨年7~9月期以来、4四半期ぶり。コロナ禍の緊急事態宣言が5月に解除された後、経済活動の再開が進んだことが伸び率を押し上げ、80年以降でこれまで最大だったバブル経済期の89年10~12月期(年率12・0%増)を大きく上回った。

 個別項目では、GDPの半分以上を占める個人消費が前期比4・7%増(前期は8・1%減)と過去最大の伸び。1人10万円の給付金の効果もあって、家電製品など消費財の売れ行きが大幅に回復した。7月に政府の観光支援策「Go To トラベル」が始まり、旅行などのサービス消費も一定の回復がみられた。

 一方、企業の設備投資は3・4%減で、2四半期連続で減少した。景気の先行きの不透明さから、慎重姿勢が広がっているとみられる。

 海外経済の復調を背景に、輸出は前期比7・0%増(前期は17・4%減)。統計上、輸出に区分される訪日外国人の消費は渡航制限のためにほぼ消失したままだが、欧米向けの自動車輸出などが大きく持ち直した。

 一方、輸入は9・8%減に落ち込んだ。前期に増えたマスクなどの輸入が一服した。その結果、輸出から輸入を差し引いた外需は大幅なプラスとなり、GDP全体の伸びの6割を占めた。

 物価の動きを反映した名目GDPは前期比5・2%増、年率22・7%増だった。(山本知弘)

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 〈国内総生産(GDP)〉 国内で一定期間内に新たに生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額。一国の経済規模を示す指標として重視される。四半期(3カ月)ごとの速報値を内閣府が公表する。内訳は、個人消費や設備投資、公共投資などの「内需」と、輸出から輸入を差し引いた「外需」にわかれる。GDPの増減率を経済成長率と呼ぶ。四半期ごとの統計では、同じ増減のペースが1年間続くと仮定した年率換算の数値で見ることが多い。