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 7~9月期のGDPはおおかたの民間予想を上回り、記録的な伸び率となった。ただ、緊急事態宣言で経済活動が止まり、戦後最悪のマイナス成長に陥った前期からの自律反発の側面が強い。夏場の天候不順や、コロナ感染の「第2波」に伴うお盆の移動自粛などのマイナス要素もあったが、直前の落ち込みがあまりに大きかったため、表面化しなかった。

 「4、5月を底に着実に持ち直しの動きは続いているが、依然、経済はコロナ前の水準を下回っている。マインドはまだ守りの状態で、感染再拡大による下ぶれリスクにも注意が必要だ」。西村康稔経済再生相は16日の記者会見で、回復の鈍さや先行きへの懸念も口にした。

 実際、実質GDPの金額で見れば、7~9月期は年換算で約508兆円。増加額は、4~6月期に失った額の半分余りにすぎない。しかも、輸入の急減が見かけ上、数値を押し上げた部分も大きく、コロナ危機から「V字回復」を果たせたとは言いがたい。

 しかもこの先、回復は一気に減速しそうだ。日本経済研究センターが11日にまとめた民間エコノミスト34人の予測平均では、10~12月期の実質成長率は4・04%。年明け以降は1~2%台まで下がる見通しで、GDPがコロナ前の水準に戻るのは数年先とみられている。

 重しになっているのは、やはりコロナだ。欧米では感染者が急増し、厳しい外出制限を伴う「ロックダウン」に再び踏み切る国も出始めている。日本も、人の動きが増えるにつれて「第3波」ともいわれる状況になりつつある。ワクチン開発への期待は高まるものの、依然、収束は見通せない。

 国内では企業業績の落ち込みを背景に、有効求人倍率や失業率など雇用指標の悪化がじわじわと進み、ボーナス削減の動きも広がる。7~9月期の急回復を牽引(けんいん)した消費と輸出は、それぞれ下ぶれのリスクが強まっており、景気の先行きは不透明さを増している。(山本知弘)