「出自知る権利」の議論先送り 法案提出でも残る慎重論

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 与野党5会派は、国会に共同提出した生殖補助医療に関する民法の特例法案の今国会での成立をめざす。ただ、提案者に名を連ねる立憲民主党からも生まれた子どもの「出自を知る権利」が担保されていないなどの課題を指摘する声があがっている。

 「各会派においても得られるコンセンサスをまとめた」。法案提出後の16日の会見で、提案者の1人である公明党の秋野公造参院議員はこう述べた。

 秋野氏は自民党野田聖子幹事長代行らとともに、不妊治療で生まれた子どもの親子関係を明確にする民法の特例法案に取り組んできた。自公で議員立法を2016年にはまとめたものの、国会提出には至らなかった。

 今回の法案では、意見が分かれる代理出産や生殖補助医療で生まれた子どもの出自を知る権利については、検討項目として今後2年をめどに結論を出すことを付すことにとどめた。

 野田氏は朝日新聞の取材に対して「20年この問題に取り組んできた。いろんな意見があるのは知っているが、議論する場すらこれまではなかった。まずは今抱えている問題を解決する。そこからだ」と法案を提出した意義を強調した。

 一方、法案を共同提出した立憲民主党内には、慎重論も残っている。党のジェンダー平等推進本部は、第三者から提供された精子や卵子を用いて、生殖医療で生まれた子どもの「出自を知る権利」の保障など、6項目について意見書をとりまとめた。意見書では、「卵子、精子提供者の匿名性の要望よりも、出自を知る権利が優先する」ことを求めている。

 現状では、出自を知る権利は保障されておらず、子どもが将来、自分の出自を知りたいと求めたとしても、提供者の個人情報の保存・管理は整備されていない。事実を隠されて生きてきた子どもの苦悩や、心身の不調など深刻な問題が指摘されている。

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