子孫繁栄願う縄文の「石棒」がブーム? 1千本超出土も
男性器を模したとされる縄文時代の石器「石棒」の魅力を発信するイベントが岐阜県飛驒市などで始まった。全国屈指の出土数を誇る飛驒市のほか、特徴的な石棒が出土した東京や長野の2地域も参加し、石棒の人気投票も初めて企画した。23日まで聖地を巡るツアーなどイベントが続く。
石棒は全国から出土し、当時の人々が子孫繁栄など祈りの道具として使ったとされる。1千本を超える全国屈指の出土数を誇る「飛驒みやがわ考古民俗館」は、コロナ禍でもオンラインツアーを先駆的に行うなど、マイナーな石棒の魅力を積極的に発信してきた。
今回のイベントは石棒唯一の国指定重要文化財が出土した東京都国立市、約2メートルもある日本最大の石棒の出土地、長野県佐久地方を巻き込んだ。石棒研究において、国内を代表する三つの地域が一堂に会し、交流を深めることにした。
初日となる11日にはトークイベントがオンラインであり、飛驒と佐久の美術館の館長らが参加。3地域からそれぞれ選抜された12本の石棒による人気投票「石棒総選挙」も開催中で、アピール合戦となった。
浅間縄文ミュージアム(長野県御代田町)の堤隆館長(58)は国内最大の2・2メートルから、つまようじほどの小さな石棒を紹介。「静かな石棒ブームが来ている。もっと盛り上げたいですね」と参加した約60人に語りかけた。飛驒をPRした三好清超学芸員(43)は「想像以上に石棒愛のあるファンがいることがわかった。3地域一丸でファンを増やしたい」と話した。
飛驒市では今後、研究者らによるトークイベントや考古民俗館のツアーなどを予定している。詳しくは石棒クラブ(https://www.facebook.com/sekibo.club/)。(山下周平)