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 大規模災害が起きた時のために、東京都は、食べ物や日用品を自宅に多めに備える「日常備蓄」に力を入れるよう、訴えている。首都直下地震が発生すると約1千万人が自宅で過ごすと想定されているのに加え、新型コロナウイルスという新たな脅威も。収束が見えない中、避難所の「密」を避けるためにも、重要性はより高まっている。(長野佑介)

 日常備蓄とは米やカップ麺、乾麺、レトルトカレー、缶詰といった賞味期限が比較的長く、常温で保存できる食材を多めに買い置きしておくこと。使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を蓄えることができる。食料だけでなく、トイレットペーパーなども含まれる。乾パンやアルファ化米など普段食べないものを備えておくこれまでの備蓄の考え方とは異なる。

 都は2015年、「1年に一度は、びちく(19)の確認」という語呂合わせで、11月19日を備蓄の日に設定。この日を中心に毎年、イベントなどで日常備蓄の浸透を図ってきたが、若年層の食料の備蓄実施率の低迷が課題となってきた。都民意識調査(2019年度)によると、20代は約63%で、60代の約81%よりも18ポイント近く低かった。

 そこで都は今年度、若い世代を中心に認知度が高いアニメキャラ「貝社員」と都の防災キャラ「防サイくん」が登場する広報動画を作成。15秒と30秒の短編に加え、「何のため?」「適しているものは何?」「何日分あれば良いでしょう?」といった日常備蓄に関する疑問を学べる約5分の長編を、都のホームページなどで11月から配信している。

 都のキャンペーンは来年1月末まで。1月からは都営交通でラッピングバスを運行するほか、防災グッズを懸賞とするアンケートつきのリーフレットも配る。

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 日常備蓄の考え方は、11年の東日本大震災以降、注目されるようになった。その重要性は、新型コロナウイルスの感染拡大とともに高まっている。災害時の避難所で避難者同士の間隔を広く取り、感染リスクを下げるためには、避難所に来る人を今までよりも減らさなければならないからだ。

 都によると、都と区、市町村を合わせた行政側の備蓄(昨年4月時点)は、クラッカー926万食、アルファ化米1542万食、即席麺220万食。避難所で220万人が3日間生活する想定の量だという。ただ、都は避難所での集団感染リスクを念頭に、一人ひとりが自宅で日常備蓄の準備を進めることが重要だとしている。

 都のある幹部は「避難所は共同生活であり、避難者同士で距離を保っても感染リスクは高い。『自宅で過ごせる人は自宅で』という意識を高めていくことは、コロナ禍にあって欠かせない」と強調。「いま、在宅時間が増えている家庭も多いと思う。この機会に災害時に自宅でどう過ごすか、何が必要になるか話し合って、万が一の時に備えてほしい」と話している。

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