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 乳牛のふんや尿を利用したバイオガス発電に取り組む北海道新得町の「友夢(ゆうむ)牧場」が、余剰熱を使ったバナナのハウス栽培に成功した。10月に初めて収穫したバナナは味も上々。「将来、新得の新しい特産品になれば」と手応えを感じている。

 記者が牧場を訪ねたのは10月13日。バイオガスプラントに隣接する約300平方メートルの農業用ハウスの中。高さ約4メートルに育ったバナナの木のところどころに、黄色く色づいた房がたわわに実っていた。

 米ハワイ産で知られる「アップルバナナ」や、皮も食べられる「グロスミッチェル」など4種類。アップルバナナを試食させてもらうと、リンゴのような酸味とほのかな甘みが口に広がった。

 「アップルバナナは、さわやかな酸味があり、食べやすい。熱帯のバナナが新得でできたら面白いと思って始めたが、こんなにうまくいくとは」。友夢牧場の湯浅佳春会長(70)は喜ぶ。

 約1500頭の牛を飼育する大規模牧場。4年ほど前、独自にふんや尿を利用したバイオガスプラントを整備した。発電機を冷却する際に出る温水を用いて農業用ハウスに温風を送り、2年ほど前からメロンの水耕栽培に取り組んでいる。余剰熱をさらに活用しようと昨年8月、10本のバナナの苗を植えた。

 バナナの栽培を任されたのは、メロン栽培を担当してきた丸橋徹也さん(34)だ。昨年春、町の地域おこし協力隊に応募して茨城県から移住してきた。

 丸橋さんはバナナの栽培方法を本やネットなどで独学しながら、水やりや日照の当て方などを試行錯誤した。温度管理は徹底させた。ハウスのビニールを三重にするなど工夫し、真冬でも室内の温度が5度を下回らないように気を配った。実を付ける夏には、皮が固くなりすぎないように13度から33度の間を保つようにした。今では50本近くに枝分かれするまでに成長した。

 化学肥料や農薬は使わず、バイオガスの生成過程で出る液だけを肥料に用いる。丸橋さんは「当初思ったほどは苦労しなかった。ここは、水も土も良い。肥料を含めて、完全に地元のものだけを使ったバナナです」と胸を張る。

 まだ一般向けに販売する予定はないが、湯浅会長は「栽培量をもう少し増やして、将来は牧場の牛乳とコラボした、ジュースも考えられる」と夢を膨らませている。(中沢滋人)

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