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 文化庁は17日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に提案している「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」について、事前審査をしていた評価機関が「登録」を勧告したと発表した。同庁によると、日本の提案について評価機関の登録勧告が覆った例はないという。12月中旬に、フランスでの政府間委員会で正式に決まる見通しだ。

 無形文化遺産は芸能や祭り、社会的慣習、伝統工芸技術などが対象。今回の提案は、国が文化財保存のために不可欠な伝統的技術として認定した選定保存技術のうち、「建造物木工」「檜皮葺(ひわだぶき)・杮葺(こけらぶき)」「左官(日本壁)」など、木造建造物の修理にかかわる17件からなる。ふすま絵や掛け軸などの修理とともに、「飛鳥美人」で知られる奈良県明日香村の高松塚古墳の国宝壁画の修理にも活躍した「装潢(そうこう)修理技術」も含まれる。

 文化庁が公表している提案概要では、歴史的建造物を修理するには、本来の部材との調和を取りながら傷んだ部分を取り換えるなど高度な技術が必要で、職人が工夫して発展させてきたとする。また、漆やい草など修理に必要な資源を、保全に配慮しながら採取する知恵も、受け継がれてきたなどとしている。

 同庁によると、評価機関はこの提案が登録のために必要な基準を満たしていると判断し、「登録」を勧告した。「無形文化遺産と有形遺産である建造物との本質的な関係に光をあて、持続可能な開発に沿った提案を行った」とも評価しているという。

 2009年に「建造物修理・木工」を提案したが未審査となったため、他の技術とあわせて構成し直し、18年に改めて「伝統建築工匠の技」として提案した。ユネスコの年間の審査件数には上限があり、登録件数の少ない国が優先されるため審査が見送られ、昨年再提案していた。

 文化庁によれば、無形文化遺産は世界で463件あり、日本からは能楽や歌舞伎、和食、和紙など21件が登録されている。(丸山ひかり)

選定保存技術       保存団体

①建造物修理       文化財建造物保存技術協会

②建造物木工       文化財建造物保存技術協会、日本伝統建築技術保存会

③檜皮(ひわだ)葺(ぶき)・杮葺(こけらぶき)      全国社寺等屋根工事技術保存会

④茅葺(かやぶき)          全国社寺等屋根工事技術保存会

⑤檜皮採取        全国社寺等屋根工事技術保存会

⑥屋根板製作       全国社寺等屋根工事技術保存会

⑦茅採取         日本茅葺き文化協会

⑧建造物装飾       社寺建造物美術保存技術協会

⑨建造物彩色(さいしき)       日光社寺文化財保存会

⑩建造物漆塗(うるしぬり)       日光社寺文化財保存会

⑪屋根瓦葺(本瓦葺(ほんがわらぶき))   日本伝統瓦技術保存会

⑫左官(日本壁)     全国文化財壁技術保存会

⑬建具製作        全国伝統建具技術保存会

⑭畳製作         文化財畳保存会

⑮装潢(そうこう)修理技術      国宝修理装潢師連盟

⑯日本産漆生産・精製   日本文化財漆協会、日本うるし搔き技術保存会

⑰縁付(えんつけ)金箔(きんぱく)製造      金沢金箔伝統技術保存会