日本の野口聡一宇宙飛行士(55)らが搭乗する米スペースX社の新型有人宇宙船クルードラゴンが日本時間17日午後1時ごろ、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。民間開発の宇宙船による初の運用飛行で無事4人の飛行士をISSまで送り届けた。
クルードラゴンには野口さんと米航空宇宙局(NASA)の飛行士3人が乗りこみ、同16日午前9時半ごろ、米南部フロリダ州のケネディ宇宙センターからファルコン9ロケットで打ち上げられた。
打ち上げ直前には扉についた小さなゴミが原因で、宇宙船の気密低下が見つかって開閉をやり直したり、打ち上げ後には宇宙船の推進剤のヒーターに不具合が見つかったりといったトラブルがあったが回復した。約27時間半の飛行後、上空約400キロのISSに到着し、ドッキング。野口さんらはISSの中に入った。
野口さんは「民間宇宙船のドッキング成功に立ち会えてとても幸せ。訓練の間、そして打ち上がった後も困難な状況に直面したが、全集中で乗り切った。これから半年間の宇宙滞在でも皆さんと感動を分かち合いましょう」と話した。「全集中」は人気漫画「鬼滅の刃(やいば)」に出てくるセリフだ。
野口さんはISSに半年間滞在し、日本の実験棟「きぼう」での科学実験や超小型衛星の放出などをする予定。(ワシントン=香取啓介)
スペースX、驚異的な開発力
野口聡一飛行士らを乗せた新型宇宙船「クルードラゴン」を開発したのは、米宇宙企業「スペースX」。2002年に創業したばかりだが、国際宇宙ステーション(ISS)への飛行士の往復で米航空宇宙局(NASA)から大きな契約を勝ち取り、初の再利用ロケットも実用化するなど、世界の宇宙開発の台風の目になった。驚異的な開発力の秘密は何なのか。
メキシコ湾に近いテキサス州…