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 山梨県山梨市出身の作家で、日本文芸家協会理事長を務める林真理子さんの企画展「まるごと林真理子展」が県立文学館(甲府市貢川1丁目)で開かれている。恋愛小説、評伝、エッセーと多彩な表現活動を続けてきた半生を直筆原稿など約150点で紹介しており、来場者は1万人を超えた。23日まで。

 林さんは、初めて刊行したエッセー集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」が話題を呼び、1986年には「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞を受賞。200冊以上の作品を執筆してきた。10月には37年間にわたる週刊誌のエッセーが「最多掲載回数」としてギネス世界記録に認定されたと発表され、幅広い文化活動が評価されて菊池寛賞も受賞した。

 展示は林さんの両親のことから始まる。「本を読む女」のモデルで、3年前に亡くなった母みよ治さんについては、児童文芸誌に作品を投稿して掲載され、地元で「第二の樋口一葉」と話題になった逸話にも光を当てた。みよ治さんが戦後、山梨市駅前に開業した書店「林書房」も紹介している。

 林さんが小学生の頃に書いた作文や、県立日川高校時代に地元ラジオの視聴者DJを担当したことなど、10代の足跡も貴重な写真とともに振り返っている。

 展示の目玉は直筆原稿だ。ブドウ畑の描写も鮮やかな「葡萄(ぶどう)が目にしみる」、柴田錬三郎賞の「白蓮(びゃくれん)れんれん」、大河ドラマ原作の「西郷どん!」などに記された文字からは、旺盛な執筆力を表すような「疾走感」が伝わってくる。

 そのほか、「ミカドの淑女(おんな)」の帯に寄せた故松本清張の原稿、瀬戸内寂聴さんの手紙のほか、オペラ鑑賞の際に着たドレスなども並ぶ。県出身の人気作家、辻村深月さんとの対談なども企画展に合わせて開かれ、文学ファンの話題に。開会から56日目の今月14日、来場者は1万人を超えた。

 中野和子学芸員は「現役作家の単独展は文学館として初めて。ボリュームのある手書き原稿、文学にとどまらない多彩な活動などをじっくりと見てほしい」と話す。

 午前9~午後5時。問い合わせは文学館(055・235・8080)へ。(永沼仁)

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