関宏美
2006年春、大阪府守口市でオスの子犬が保護された。飼い主に捨てられた犬が里親と運命の出会いを果たした。ニライと名付けられた犬は人とふれ合い、心と体を癒やすセラピー犬として14年間活躍。今年、現役生活を終えた。
ニライ(推定15歳)が暮らすのは、京都市上京区の海老名絵理子さん(48)方。一緒にいる2匹と昼寝や散歩を繰り返す日々を送る。
路上で保護されたとき、生後8カ月ほどの雑種とみられた。皮膚はひどく荒れ、長い毛の間から痩せた体がのぞいていた。警察署に2週間預けられたが、飼い主は名乗り出なかった。
それからまもなく、海老名さんは、犬の譲渡サイトでニライを見つけた。
海老名さんは会社員だった20代の頃、イルカと泳いで心を癒やすセラピーに興味をもった。結婚を機に関東から京都に移住。ドッグセラピーを知り、トレーナーやセラピストの資格を取った。
最初の相棒を探そうと思って開いたサイト。警察から引き渡されていた保護先が近く、妙に気になった。
「適性を見よう」。訪問先の子どもが騒ぐこともあり、セラピー犬は大きな音に動じない性質が求められる。
保護された犬は臆病で神経質なことが多い。ニライも最初は無表情だったが、海老名さんが音を立てるテストを繰り返すうち、うれしそうに目を輝かせた。「一目ぼれです」と海老名さん。「一緒にやっていきたい」と心に決めた。
自宅に迎えると、海老名さんが…
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朝日新聞社会部