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 トーマス・エジソンが白熱電球に使ったことで知られる京都府八幡市の竹で、ある草木染作家が着物を染めた。「見た人を元気づけたい」と話しており、市内の着物店で20日から展示する。

 染めたのは大阪市の坪倉優介さん(49)。大学1年のとき、スクーターで帰宅途中にトラックに衝突する事故に遭い、重度の記憶喪失になった。記憶だけでなく時間の概念や、食事や睡眠といった習慣、甘い辛いなどの味覚も失った。事故から3カ月後、大学に復学して染色を学んだ。卒業後、京都市内の染工房に弟子入りし、現在は独立して活躍している。

 八幡市の着物店「京都まるなか」の中西真也常務(30)が、コロナ禍のなかで「自分たちにできる挑戦を」と発案、坪倉さんに依頼した。

 5月ごろから作業を開始。竹の幹には色素がほとんどないため、葉を使った。地元客が持つ竹林の不要な竹をもらい、葉を色ごとに分け、裂いたり、もんだり、湯にひたしたりして、染料液を作った。ひとつの着物を染めるのに使った葉は約1トン。半年かけて完成させた7点は、淡い黄色に仕上がった。

 「たくましい竹から、優しい色に染まった。長年染めをやっているが、毎回驚きや発見があり、自然のパワーを感じる」と坪倉さんは話す。

 中西さんも「こんな色になると思わなかった。作ってみないと分からないのが着物の面白さ」と言う。

 同店(075・981・5298)で20~24日の午前10時~午後8時(最終日は午後3時まで)の間、誰でも見ることができる。(紙谷あかり)

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