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 作家・夢枕獏さんとカヌーイスト・野田知佑さんの交流は30年以上に及ぶ。「陰陽師」「魔獣狩り」「キマイラ・吼(こう)」など多くの人気シリーズを書き続けながら、締め切りの合間を縫って、2人で世界中の川を訪れてきた。世界の川とともに生きてきた13歳年長の野田さんのことばは、夢枕さんの創作にも影響している。

 ゆめまくら・ばく 1951年神奈川県生まれ。人気シリーズに「陰陽師」「キマイラ・吼(こう)」「魔獣狩り」などがある。『神々の山嶺(いただき)』(柴田錬三郎賞)、『大江戸釣客伝』(吉川英治文学賞)など著書多数。

 ベストセラー作家として40年以上最前線を走り続けてきた。原稿はいまも手書きで、書き終えた原稿用紙を積んでいたら、5年で自分の身長をはるかに超えていた。

 「生まれ変わって虫になったとしても小説を書いている」と話すほど小説を書くこと自体が楽しくて仕方ない。釣りや登山、格闘技といった趣味も作品に昇華し、楽しいと自ら思えるものを極めてきた。

世界を見る時間のスケールを変える

 野田さんに誘われて、カナダからアメリカのアラスカ州へと流れるユーコン川をカヌーで初めて下ったのは30代半ば。いまや中国でも人気の「陰陽師」シリーズを始めたころだった。

 深い森のなか、手つかずの大河が流れている。ムース(ヘラジカ)の群れが川を渡り、永久凍土からはマンモスの骨が出てくる。カヌーに乗っていても、川が広すぎて、進んでいるのに止まった水の上にいるような不思議な感覚だった。野田さんは言った。

 「おれたちが今見ているこの風…

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