波戸健一、鈴木健輔
土俵を彩る「大銀杏(おおいちょう)」を守れるか――。力士のまげに携わる伝統産業が需要減と後継者不足に悩みながら、踏ん張っている。ただ新型コロナウイルスが追い打ちをかけているようだ。
大相撲11月場所開催中の東京・両国の国技館かいわい。電車で、飲食店で、独特の甘い香りが漂う。きっと近くに、力士がいる。
髪の伸びていない新弟子を除けば、横綱まで600人以上いる力士は武士と同じまげを結っている。イチョウの葉のように形作る大銀杏は、十両以上の関取だけの特権だ。どちらも、長い髪を固めて整えるびん付け油と、根元を縛る紙のひも「元結(もとゆい)」が欠かせない。
元結は、激しく頭をぶつけ合っても切れない強さ、そうめんのような細さと黒髪に映える白さが特徴だ。まげを結う床山は「代えがきかない」と言う。
「テレビで大相撲を見ていると、相撲よりも力士の頭を見てしまう。パツンって切れたらえらいことだから」。長野県飯田市の元結職人、川瀬栄作さん(89)は祖父と父から学んだ技術を受け継ぎ、元結を作り続けて約80年。現状でただ一人の現役職人だ。
大銀杏を結うには「代えがきかない」存在のびん付け油と元結。それぞれの生産現場で何が起きているのでしょう。
この地域で元結産業が栄えたの…
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