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 ミャンマー総選挙は、アウンサンスーチー国家顧問が率いる与党・国民民主連盟(NLD)の圧勝となった。とはいえ国軍が影響力を保ち、民主化の要となる憲法改正も思うに任せない状態は変わらない。正念場の2期目に向けて、政権を待ち受ける課題とは――。(ヤンゴン=福山亜希)

 5年ぶりの総選挙。国会の定数664議席のうち、4分の1を占める軍人議席と、治安の悪化で選挙が中止された選挙区の22議席を除く476議席が争われ、NLDは改選議席の8割を超える396議席を得た。一方、最大野党で国軍系の連邦団結発展党(USDP)は前回を下回る33議席にとどまった。残る47議席は少数民族政党が得た。

 選挙前には、NLDが議席を減らすとの見方が多かった。国会の「軍人枠」などを定めた憲法の改正や少数民族武装勢力との和平で成果を上げられなかったためだ。だが、ふたを開けてみれば、USDP政権からの交代を果たし、軍の政治支配に終止符を打った前回よりも議席を増やした。

 半世紀以上も続いた軍の政治支配への拒否感が背景にある。「軍人枠」をめぐる憲法改正が簡単ではないと知りつつも、政治への軍の影響力を抑えたいという国民の思いは強く、「軍政に逆戻りはさせない」との民意がNLDを支えた。

 和平交渉が進まずNLD政権に不満が募っていた少数民族地域でも、NLDは一定の票を集めた。少数民族政党ではなくNLDに投票したカレン族のNGO職員ノーエイプリルさん(33)は「和平問題では失望したが、国会に軍人議席がある限り、軍と競える政党はNLDしかない」と話す。

 道半ばの民主化の足かせとなっている憲法は、軍政下で定められたものだ。軍人議員に加え、安全保障分野の3閣僚の指名権は国軍トップが持つ。改正には国会の4分の3を超す賛成が必要で、軍人議員に事実上の「拒否権」がある。

 NLDは1月に国会に改正案を出したが、軍人議員らの反対で否決された。軍にとっては民政移管後も影響力を保つ足がかりで、簡単には手放せない。国軍トップのミンアウンフライン最高司令官も総選挙前、少数民族武装勢力との紛争が続いていることなどを挙げて改正に否定的な見解を改めて示している。

拡大する写真・図版9日夜、国民に向けてビデオメッセージを流し、感謝の言葉を述べるスーチー氏=ミャンマー政府のフェイスブックから

 その少数民族武装勢力との和平に向け、NLDは選挙後に48の少数民族政党に手紙を出し、協力を呼びかけた。ミャンマーの政治評論家イエートゥン氏は「憲法改正の議論は、和平交渉と連動している。一方だけが進むことはない」と指摘し、事態の打開を模索する動きとみる。

 一方の国軍側も、和平交渉のための会議を新たに設ける考えを示した。パオ民族解放機構(PNLO)のリーダー、クンオカー氏は「地上の戦争からテーブルでの交渉に舞台を変える時期がきた」と歓迎の意向を示す。だが、軍の動きは和平交渉で主導権を握ることでNLDを牽制(けんせい)する狙いがあるとの見方もある。

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