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 漢方薬の原料に含まれる天然の甘み成分で、肝臓の働きの改善や、抗炎症作用がある物質「グリチルリチン」を、酵母の中で合成することに大阪大などの研究グループが成功した。植物の根からとられていた成分を、工業的に生産できる可能性を示した。英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。

 薬用植物カンゾウの根(甘草)は、漢方で最も多く処方される生薬で、そこから抽出されるグリチルリチンは、医薬品の成分として使われている。砂糖の150倍以上甘いため、天然甘味料としても使われている。

 植物の中で、グリチルリチンは、複数の酵素によって合成されることはわかっていたが、まだ見つかっていない酵素が残っていた。研究グループは、これまで明らかにされてきた酵素とともに働く酵素を網羅的に調べ、不明だった酵素を突き止めた。今回、見つけた酵素を含めた七つの酵素を作る遺伝子を酵母に入れて、グリチルリチンを合成できることを確認した。

 グループの村中俊哉教授は「グリチルリチンの原料の甘草はほとんど輸入に頼っている。主要生産地は中国で、輸入価格は上がり、安定供給への懸念もある。今回の発見で、工業生産への応用が期待できる」と話している。論文は、科学誌のウェブサイト(https://www.nature.com/articles/s41467-020-19399-0別ウインドウで開きます)で読める。(瀬川茂子