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 米国で最も権威ある文学賞の一つ、全米図書賞が18日(日本時間19日)発表され、翻訳文学部門に、柳美里さん(52)の小説「JR上野駅公園口」(英題Tokyo Ueno Station、モーガン・ジャイルズさん訳)が選ばれた。東日本大震災をきっかけに移り住んだ福島から生まれた物語。受賞会見で語ったのは、「一貫して居場所がない人のために書いてきた」という自身の歩みだった。

 ――受賞の感想は。

 私は18歳のときに書くことを仕事に選んで、30年以上になる。20代の頃に文学賞の発表を待つときは、自分のためだった。でも今回の全米図書賞は、いま私が暮らす福島県南相馬市の人たちのおかげだなという気持ちが大きい。皆さんへのプレゼントになればいいなと思っていた。

 ――作品の評価をどう受け止めますか。

 新型コロナの感染拡大で「ステイホーム」という言葉を聞いた瞬間に、(東京の)上野公園で出会ったホームレスの方たちや、東日本大震災の仮設住宅が思い浮かんだ。私自身が必ずしも幸福ではない家庭で育ったので、ステイホームと言われた家のなかには暴力が吹き荒れたりしたのではないかとも。隅に追いやられた人たちの問題が、感染拡大のなかで、ほかの国の人たちにも共感をもって読んでもらえたのではないか。

 ――南相馬の人たちとの交流から生まれた作品です。

 2011年4月21日、原発から半径20キロ圏内が「警戒区域」に指定される前日に初めてこの地を訪れて、12年3月から臨時災害放送局「南相馬ひばりFM」で「ふたりとひとり」という地元の方のお話を聴く番組を始めた。閉局する18年3月25日まで、約600人の話を収録した。

 来年は震災10年の節目だけれ…

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