拡大する写真・図版喫茶店の店内営業が午後6時までとなり、人出が減ったローマ中心部の商店街。11月6日からは全土で午後10時以降の外出が禁じられる=10月27日、河原田慎一撮影

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 国内外で新型コロナウイルスの患者が急増している。だが感染を抑えるためにロックダウン(都市封鎖)しなくても、訪問する「時間」や「場所」を分散させれば大丈夫――。米カリフォルニア大ロサンゼルス校の西晃弘助教授らのチームがコンピューターシミュレーション解析で明らかにした。

 過去の社会調査などをもとに、カリフォルニア州のある都市において、住民1万人がどのように接触するのかを再現した。

 家庭や職場、教育、医療、スーパー、飲食、スポーツ娯楽の分野で、300日間、200以上の行動パターンを解析。その上で、1人の感染者が感染させる人数を示す実効再生産数を出した。再生産数は1を上回れば感染が拡大し、下回れば次第に収まる。

 なにも対策を取らなかった場合の再生産数は中央値で2・5となった。教育や飲食、スポーツ娯楽施設は閉鎖するが、職場やスーパー、散歩や集まりを許すなど、マイルドに封鎖する場合は、1・361に下がった。自宅と病院以外は外出しないなど厳しく封鎖した場合は、0・845まで下がった。

 一方で、訪れる場所を分散させ、訪問する時間もずらした場合の再生産数は1・004と、ほぼ感染が広がらないレベルになった。2店あるスーパーのどちらかに客が集中しないように振り分けるとともに、来店可能な時間も分ける、といった具合だ。

拡大する写真・図版対策内容と再生産数

 ロックダウンは経済的な影響が大きいほか、精神的ダメージや運動不足など、健康面で影響を与える可能性もある。

 西さんは「外出禁止や自粛が続けば、経済が立ちゆかなくなり、廃業や失業、さらには自殺が増える可能性もある。場所や時間で集団を分ければ、これまでと同じレベルでの活動ができる」と話している。

 研究成果は米国科学アカデミー紀要https://www.pnas.org/content/early/2020/11/10/2014297117別ウインドウで開きますに発表された。(服部尚)

服部尚

服部尚(はっとり・ひさし) 朝日新聞記者

福井支局をふり出しに、東京や大阪の科学医療部で長く勤務。原発、エネルギー、環境、医療、医学分野を担当。東日本大震災時は科学医療部デスク。編集委員を経て現職。