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 「パフォーマンスでしかない」――。新型コロナウイルス対策として、東京都議会で賛否を呼んでいる罰則規定を盛り込んだ条例案について、吉住健一・新宿区長が19日の記者会見で、「(感染者を)犯罪者扱いすることはありえない。保健所の業務としても不可能だ」と強い苦言を呈した。

 条例案は都議会の最大会派「都民ファーストの会」が9月に公表。感染者や事業者が就業制限や外出自粛に従わずに感染を広めた場合、過料5万円以下を科すという内容で、他会派からも「感染者差別を助長する」との批判が出ている。

 会見で記者団から条例案への見解を聞かれた区長は「反対です」ときっぱり答えた。致死率の高い、他の病気で罰則がないのに、新型コロナウイルスの感染だけに罰則を設けることに合理性を感じないとしたうえで、「罰則付きが全国初、ということを売りにしている」と批判。「罰則を作ること自体が目的になれば、それはパフォーマンス以外の何物でもない。都民ファーストではなくて、『都民ファ・ファースト』だ」と述べた。さらに「人を罰するには厳格な証拠が必要だが、感染させた本人かどうかを(区が管轄する)保健所は証明できない」とも指摘した。

 条例案では実務は保健所が担うと想定されている。同区では、これまで3千人超の感染者が判明しており、連日、保健所職員が対応に追われている。「現場に取り締まりを一方的に押しつける条例案だと考える。疲弊した地元の保健所を犠牲にして(政党が)パフォーマンスするとすればとんでもない話だ」と語気を強めた。(大山稜)