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 豪雪地帯の岐阜県飛驒地域のスキー場が苦境にあえいでいる。スキー人口の減少に加え、近年は暖冬による雪不足にも悩まされてきた。さらに今年はコロナ禍と豪雨災害による影響も受ける。スキー場の廃止の検討も始まった。

 高山市中心部から車で30分ほどの「乗鞍高原飛驒高山スキー場」。7月の豪雨でゲレンデの一部が幅約40メートルにわたって崩落した。大量の土砂がリフト乗り場のほか、レンタルコーナーなどを備えたセンターハウスに押し寄せた。

 両施設とも復旧に時間を要する状態で、運営する高山市は今季の営業を断念。来季の再開を目指すが、指導者らからは懸念の声もある。同スキー場で30年以上、子どもたちを教えてきた平野善之さん(56)は「学校の活動でスキーをする機会も減っている。1シーズンとは言え、休止期間があることで、来季以降に子どもたちが戻ってきてくれるか心配だ」と話す。

 市が運営する「モンデウス飛驒位山(くらいやま)スノーパーク」と「ひだ舟山スノーリゾートアルコピア」の2カ所は被災こそ免れたが、いずれかを廃止する議論が始まっている。市が合併する以前の旧町村時代に整備された施設だ。

 近年は暖冬で雪が少なく、昨季は気象庁の記録が残る1953年以降、最も降雪が少なかった。12月中の営業開始がままならず、3月を待たずに営業を終えた。ともに例年3万人前後が利用するが、昨季はモンデウスが1万3千人、アルコピアは4600人と大きく落ちこんだ。市は5年連続で赤字穴埋めの補正予算を組んでいて、昨季は初めて1億円を超えた。

 そもそも2カ所は車で15分ほどしか離れておらず、スキー人口が減る中で「共倒れ」の可能性も指摘されてきた。市は昨季の営業終了後、廃止の議論を始めたが、担当者は「両地域の住民の思いもあり、議論は簡単には進められない」と話す。

 また長野県境にあり、市も出資した第三セクターが運営する「チャオ御岳マウントリゾート」は2018年度シーズンから営業を休止しており、今季も営業の見通しは立っていない。

 スキー場経営について、ある市幹部は「閉められるなら閉めたい」と話す。しかし、スキー場の運営やレストラン、周辺の宿泊施設などに従事する季節雇用を抱えており、「簡単にやめられない」と悩みは深い。

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 新型コロナウイルスの影響をもろに受けたスキー場もある。飛驒市の「ひだ流葉スキー場」は旧神岡町時代に整備され、昨季までは大阪市の観光バス会社が運営していた。しかし、新型コロナの影響で、同社は3月、市に対して事業撤退を申し入れた。

 周辺には15軒の宿泊施設があり、キャンプ場も兼ねるスキー場の閉鎖は宿泊施設の廃業につながると市は懸念。冬季は約70人が働くこともあり、市は新たな事業者探しを始めた。

 難航も予想されたが、同スキー場の運営スタッフらが中心となり、新会社「newflow」を設立し、運営に手を上げた。市は10月から管理を委託し、現在、6基あるリフトの点検などを進め、12月中旬のオープンを目指している。

 1970年代には40万人が訪れた同スキー場だが、ここ数年は3万人前後で推移する。イベントで集客を図りたいが、コロナ禍だけに感染対策を重視する。

 神岡町時代に運営に携わり、新会社の社長に就任した新家行夫さん(57)は「まずは事故のないシーズンを目指したい。経営が難しい環境が続くが、地域の力になりたい」と話す。(山下周平)

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