川辺川ダム容認 会見一問一答「豪雨予想できず責任」

井岡諒
[PR]

 川辺川へのダム計画を2008年に「白紙撤回」した蒲島郁夫知事自身が19日、容認へと方針転換すると明言した。住民の生活再建や鉄道、国道復旧の「前提」として治水の方向性を打ち出した形だが、ダム完成の時期や、環境悪化の抑止策など具体的な道筋は示せていない。ダム建設への反対意見も根強いなか、記者会見では民意の問い方への疑問も相次いだ。

     ◇

 ――県議会で示した治水方針はいつ判断したか。

 流域の人たちの民意の本質には何があるかをずっと考えてきた。最終的には、命と環境の両立が共通の願いと感じた。「緑の流域治水」の枠組みの中で、流水型ダムがその両立に貢献すると思い、新たな治水の在り方として申し上げた。復旧・復興を考えると、国道や線路などは水位が決まらないと造れない。水位は治水で決まるので、治水の方向性は早めに示さないといけない。

 ――流水型ダムはいつごろ計画がスタートして、完成するという考えか。

 流水型を国に要望したからといってすぐにできるものではない。環境に優しく、清流を守るというリクエストも付いている。国土交通省もしっかりと受け止めて、合意してもらうことが大事。何年かかるかわからないが、土砂撤去などできることからやっていく。

 ――白紙撤回から12年。この間、宅地かさ上げや堤防の整備などもっとできたことがあったのでは。知事の責任をどう考えるか。

 ダムによらない治水を極限まで検討して頂きたいと国や市町村にもお願いしてきた。ただ、その実現に至る前に大きな豪雨が来た。予想できなかったことに大変な責任を感じている。

 ――流水型ダムの環境・治水両面の効果をデータで住民に示した上で民意を問うという考えは。

 今までの経験や専門家、国交省の意見を踏まえ、可能だという判断の下に今回の決断がある。それでも多くの方が疑問を持っているので、きょうの表明文にもあるように、環境アセスメントの実施を国に求める。県市町村、流域住民が一緒に事業の方向性や進捗(しんちょく)を確認する仕組みもつくる。

 ――ダムに反対する方にはどう対応するのか。

 一番大事なポイントは、これまでの川辺川ダム(計画)を100%否定したということ。(意見を聴く会などでの)今までの議論を聞くと、だいたい想像されているのは、利水ダムとしての川辺川ダム。そうではなく、今回の表明では命と環境を両立しうるような洪水調整機能を提案した。

 ――ダムについては賛成多数でなくても進めるべきだという考えか。

 民意がわからないから、何もしないという選択肢は知事にはない。民意がどこにあるかわからない段階では、将来の民意はこうだろうと考えながら決断する。

 ――五木村の水没予定地にはどう対応するのか。

 村を自ら訪問して、これまでのご迷惑へのおわびをし、村の発展・繁栄のために何ができるかをお話ししたい。

 ――「緑の流域治水」の具体的な策は。

 遊水地として耕作放棄地が利用できるかもしれない。農家の方々が治水のために、自分の田んぼを最大限利用できるようなシステムがあればいい。7月の豪雨災害を多くの方が経験して、治水に参加しようという気になっている。とても貴重なことで、全員が参加しないと「緑の流域治水」は成立しない。(井岡諒)