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 北海道内で新たに確認された新型コロナウイルスの1日あたりの感染者が19日、過去最多を更新した。道全体で267人、うち札幌市は197人(再陽性1人含む)。これまで最多だった12日の236人(うち札幌市164人)を大きく上回った。クラスター(感染者集団)の発生が続き、それ以外の感染確認も目立つ。特定の場所だけでなく、市中で感染が拡大しつつあることへの懸念が強まっている。(本田大次郎、阿部浩明、斎藤徹、松尾一郎)

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 「クラスターの広がりと市中感染が合わさって、非常に心配な状況だ」。19日夕に会見した札幌市の山口亮・感染症担当部長は危機感をあらわにした。

 同市でも深刻な状況に陥っているのが、南区の特別養護老人ホーム「ドリームハウス」。10日にクラスター発生が判明し、これまでに入居者83人、職員21人の計104人が感染。道内最大のクラスターとなっている。市によると、入居者のうち33人が入院し、施設内で50人ほどが療養中という。一方、運営法人は17日時点で入居者2人が死亡したと公表している。

 法人内や外部から看護師や介護職員が応援に入り、保健所や市内の医師も巡回やオンライン診療で支援している。点滴や酸素投与など一般の医療機関と同じような医療に努めているという。

 市内では4~5月に大規模なクラスターが発生した「茨戸(ばらと)アカシアハイツ」(北区、7月に収束)で介護や看護が厳しくなり、死者17人を出した。当時との違いについて山口部長は「施設内外の努力でスタッフを確保し、必要なサービスを提供できている」と説明した。

 感染拡大を受け、札幌市はコロナ患者向けに確保している約360床を約440床まで増やすよう各病院に要請している。ただ、介護が必要な感染者の受け入れに人員が割かれており、実際に受け入れ可能な病床数は「実際はより限られる」(市担当者)。市は介護が必要だが軽症の患者を受け入れる後方支援病院の確保の準備も進めている。(芳垣文子)

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 道内の感染急増の背景にあるのが、連日発生しているクラスターだ。19日までに累計で126件が発生。11月だけで55件と全体の4割超を占めている。特に最近は「夜の街」以外での発生が目立っている。

 11月に発生したクラスターの内訳は、接待を伴う飲食店を含む飲食店が14件、医療機関が10件、介護・福祉施設が10件、会社など職場が8件。このほか幼稚園、中学・高校、専門学校や自衛隊駐屯地、刑務所、出入国在留管理局など、人が集まるあらゆる場所で発生している。

 道や札幌市の担当者は、札幌・ススキノの飲食店で感染した人が、家庭や職場などでさらに感染を広げた可能性があると指摘する。

 最近は医療機関や老人福祉施設でのクラスターが多発。基礎疾患があったり高齢だったりする人が集まる場所では免疫力が弱いため感染が拡大しやすく重症化しやすい。患者を受け入れる病院でのクラスター発生は地域での患者受け入れ体制全体にも影響する。道保健福祉部の担当者は「大勢の人が集まり接触しやすい場所では、どこでクラスターが発生してもおかしくないという気構えで注意してほしい」と訴える。

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 新たなクラスターは4件で、21日連続の発生となった。死者は7人で、5月に記録した過去最多の8人に迫る多さだ。累計感染者はのべ6380人。入院や療養中の患者は1993人。

 新たなクラスターはいずれも札幌市内で発生。札幌出入国在留管理局では職員13人が感染した。その他はIT関連会社(従業員7人)、医療機関(職員5人と入院患者8人の計13人)、グループホーム(入居者5人と従業員3人の計8人)。

 既存のクラスターでは、旭川市の吉田病院で新たに1人加わり計67人、滝川中央病院で1人増えて計22人。江別市の道消防学校でも1人増えて計7人。

 札幌・ススキノ地区の接待を伴う飲食店での感染者は前日より2店舗、7人増の146店舗、525人。

 この日は函館市で過去最多の14人の感染が確認された。同市は軽症者向けの宿泊療養施設として、ホテルの客室100室程度の確保を道に要望。平井尚子副市長は会見で「市内だけでなく道南全域(の患者)を受け入れなければならず、(市内の)病床数が逼迫(ひっぱく)している」と説明した。

 また、国の観光支援策「Go To トラベル」を巡り、共産党道委員会は中野祐介副知事に対し、見直しを国に求めることなどを申し入れた。医療体制が逼迫(ひっぱく)しているとし、真下紀子道議は「感染を早期に収束させることが感染を抑えて経済活動を進めていく最低条件だ」と話した。