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 520人が犠牲になった1985年の日航ジャンボ機墜落事故で夫を亡くした女性に、事故原因とされる修理ミスをした米ボーイング社の日本法人から1通の手紙が届いた。今年8月の命日に送った手紙への礼状だった。安全への願いをつづった女性は、思いが伝わったと受け止めている。

 手紙を受け取ったのは大阪府箕面(みのお)市の谷口真知子さん(72)。事故で夫正勝さん(当時40)を失った。正勝さんは機内でしたためた「まち子 子供よろしく」というメモを残していた。メモは群馬県上野村の御巣鷹の尾根の墜落現場で見つかった。

 当時中学生と小学生だった息子2人と谷口さんを励ましたのが、正勝さんが自宅に植えていた柿の木だった。2016年、谷口さんは柿の木をモチーフにした家族の物語を絵本「パパの柿の木」として出版。今年になってできた英訳版に、これまでの思いをつづった手紙を添えた。

「まち子よろしく」あの夏から35年、絵本に込めた願い
女性が書いたボーイング社への手紙に関する7月の記事はこちらです。

 手紙には恨みではなく、小さなミスで多くの人生を狂わせるという教訓を伝えたいという思いを込め、「たった一つの小さなミスが多くの人の命と人生を奪い、残された人たちの運命をも狂わせてしまいます」と記した。ボーイング日本法人からは約1カ月後に返事が届いた。

 国の事故調査委員会による報告書は、ボーイング社による修理ミスが原因で機内の気圧を保つ「圧力隔壁」の強度が落ち、それが飛行中に壊れて操縦不能になったと事故原因を推定している。

 日本法人の社長は自身も息子2人の父親だと明かし、「愛する夫であり、かつお二人のご子息にとってもかけがえのない父親を亡くされ、深い悲しみの淵から力強く生きて行く姿勢に強く胸に迫るものがあった」と記していた。米国本社の幹部とも共有すると書かれ、谷口さんは「気持ちを受け止めてくれた」とうれしく感じた。

 谷口さんは、これからも公共交通機関に携わる人に事故の教訓を伝え続けたいと考えている。手紙が届いた翌日、自宅近くの墓地に眠る正勝さんに報告した。「力を貸してくれたのかな。いつもありがとう」(張春穎)