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 人の心の奥底に触れる、音楽の美しさと恐ろしさ。NHKの連続テレビ小説「エール」は、その振幅を繊細に描いて胸を打つ。戦後、傷ついた人々がそれぞれの大切な音楽を糧に、自分だけの新たな人生へと一歩を踏み出す姿に、毎朝、心を洗われている。

 だからこそ、戦時中の描写において、実在の音楽家を「軍部に加担=悪」という安易な構図に押し込めていたことが残念でならない。フィクションによる演出が、史実をより強いインパクトをもって伝える装置となることは理解できる。山田耕筰をモデルとする小山田耕三を、主人公の才能に嫉妬するヒールとして描いたのには、そうした意図もあったのだろう。しかし、故志村けんさんの熱演もあり、山田が権威主義的な悪代官として印象づけられてしまったのならば、あまりにも罪深い。

 確かに山田は日本で初めてオー…

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