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コラム「多事奏論」 稲垣康介 編集委員

 昨春までのロンドン駐在時代、私の娯楽は夜のミュージカル鑑賞だった。日本の朝刊最終版の締め切り時間は英国の夕方。深夜から早朝の東京から問い合わせが来る心配が少なく、演劇に浸れた。しんみりする場面で劇場内にすすり泣きが聴こえてくると、こちらもつられて涙ぐむことも。

 コロナ禍でロンドンのウェストエンド地区にある劇場群は休演を余儀なくされているが、日本は踏ん張っている。

 先日、劇団四季の「オペラ座の怪人」を鑑賞した。コロナの影響で劇団四季も2月末に全演目を中止し、7月14日の再開まで1103回の公演が消えた。

 劇場に向かう前、面識のあった劇団四季の吉田智誉樹社長にメールを送った。来夏に延期された東京五輪の見通しなど私の仕事の近況報告を兼ねて。

 地下鉄に乗っている間に返信が届いた。「演劇もスポーツも、『同時性』『一回性』が強みですが、ここをコロナ禍に襲われ、共に苦しんでいます。でも、何としても生き残らなければなりません」。同じ時間に同じ場所に集まり、俳優と観客がたった一度の世界を共有する。映像やウェブ上のコンテンツにも魅力的なものがあるけれど、2次元のメディアでは伝えきれない価値への自負を文面に感じた。スポーツだと台本がないドラマ、という要素が加わる。

 この1週間ほど前、今年末での…

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