「気さくで老練、課題は…」前駐米大使が見たバイデン氏

有料記事

倉重奈苗
[PR]

 バイデン次期米大統領が副大統領時代、駐米大使として接した佐々江賢一郎氏(69)が19日、朝日新聞のインタビューに応じた。佐々江氏はバイデン氏について「気さくで、老練な政治家」と説明。外交通で日米関係を重視しているとする一方、在日米軍駐留経費をめぐる問題では、トランプ政権と同様に日本側に負担増を求める可能性が高いとの見方を示した。

 佐々江氏は、バイデン氏を「庶民的で心配りの人」と評する。2012年、知日派の重鎮ダニエル・イノウエ米上院議員の告別式でバイデン氏は弔辞を読んだ。「自分の人生体験と結びつけた内容で、人々の気持ちに訴えるスピーチが得意」という。「家族を相次いで亡くすなど苦労を重ねてきた、その経験が強みになっている」と指摘する。

 14年と15年に日本大使公邸で女性DV被害者を助ける女性法律家のイベントを開いた際も、バイデン氏が駆けつけた。合唱団も含め参加者一人ひとりに声をかけていたほか、車いすの参加者にひざまずいて語りかけていたという。

到着を待ったバイデン氏

 また自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長(当時)がバイデン氏と会談した際、河野氏が乗った米軍ヘリの故障で、約束から2時間以上遅れたことがあった。佐々江氏は延期するしかないと考えたが、バイデン氏は到着を待った。

 バイデン氏は河野氏に「あなたとの会談は重要だ。なぜなら日米の安全保障上の協力は重要だからだ」と述べたという。バイデン氏は河野氏と熱心に意見を交わし、終わって帰ろうと立ち上がってからも10分間話し続けたという。

 佐々江氏によると、バイデン氏は日本の首脳や閣僚との会談でも「アジア太平洋の枠組みで日本の果たす役割は大きい」と日米関係の重要性を述べていたという。トランプ氏は大統領就任当初は中国と日本を「同極」に位置づけて経済政策などについて話していたことがあったという。

 一方で、在日米軍駐留経費の…

この記事は有料記事です。残り1521文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません