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 米領プエルトリコにあるアレシボ天文台の電波望遠鏡(直径305メートル)が破損し、全米科学財団(NSF)が19日、修理を断念して廃止すると発表した。もともとハリケーンや地震でダメージを受けており、今夏以降にも複数のケーブルが切れて反射面に穴が開くなどしていた。小惑星探査や地球外生命体探しなどに使われ、映画「コンタクト」にも登場した望遠鏡が57年の歴史に幕を下ろす。

 アレシボ望遠鏡は今年8月、補助ケーブルが切れて落下し、反射面に穴が開いた。今月7日には、12本ある主ケーブルのうち1本が断線しているのも見つかった。安全性を評価した米セントラルフロリダ大によると、いつ倒壊してもおかしくなく、「廃止しか方法がない」状況という。もともと2017年のハリケーンと19年の地震でダメージを受けていた。

 アレシボ望遠鏡は、自然のくぼ地を利用して1963年に完成した超巨大望遠鏡。中国が2016年に直径500メートルの電波望遠鏡を稼働させるまで、半世紀以上にわたって世界最大の望遠鏡だった。巨大すぎて望遠鏡そのものは動かせないため、ワイヤでつるした受信部を動かして観測したい方向に向けていた。

 水星の自転が59日だと確かめたり、太陽系外惑星を見つけたりした。地球外生命体に向けてデータを送ったこともあり、1997年のSF映画「コンタクト」で舞台となった。NSFのディレクターは「作業員や天文台の職員、訪問者の安全を最優先に考えた。アレシボは約60年間、画期的な科学の道しるべとして役割を果たしてきた」と残念がった。(小川詩織)