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 長崎県五島市三井楽町の離島、嵯峨島(さがのしま)で、インターネットやドローンを利用した遠隔医療の実証事業が進んでいる。市と長崎大、ANAホールディングス株式会社、NTTドコモ九州支社が協力して進めているプロジェクトだ。診療から薬の輸送までの一連の流れが報道機関に公開された。

 国土交通省が進めるスマートアイランド推進実証調査業務の一環で、五島市(野口市太郎市長)を代表団体とする4者で構成する五島スマートアイランド実証推進調査協議会が、10月5日から来年2月12日までの予定で取り組んでいる。

 嵯峨島は五島列島・福江島の西約5キロ、65世帯106人が暮らす2次離島だ。島の出張診療所には看護師1人が常駐し、医師は週1回、水曜午後に福江島の三井楽診療所から通っている。

 実証事業のオンライン診療は月~金曜(医師がいる水曜午後を除く)の指定した時間帯に実施中だ。11月5日は、男性の住民が嵯峨島出張診療所で診療を体験。アバター(分身)ロボットのタブレット端末画面に、三井楽診療所にいる医師の顔が映し出され、男性は医師と実際に対面しているような様子でやりとりした。

 診察後、男性は福江島にいる薬剤師からオンラインで服薬指導も受けた。処方した薬は嵯峨島から約5キロの貝津港でドローンに積み込まれ、10分ほどで島に到着。看護師が薬を受け取り、男性に手渡した。

 厚生労働省の指針では、これまでオンライン診療は「初診は対面診療」が原則だったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、特例で初診から受診が可能となった。実証事業は、遠隔医療モデルの効果を確かめ、コロナ収束後の恒久的な規制緩和の必要性を検証するのが狙いだ。

 三井楽診療所の田中孝和医師は「表情がわかり症状も伝わりやすい。病人が船で渡り病院まで来るという負担も軽減される。音声が途切れたり、光の当たり方によって見えづらかったりする課題を検証し、役立つツールにする必要がある」と述べた。

 診療を体験した男性は「いつも受診している医師の顔を見ながら話ができ、安心感がある。普段と変わらず違和感はなかった。薬をドローンで運ぶ様子は昔みていた未来の世界のようだった」と話していた。