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 滋賀県長浜市北部、琵琶湖の北端にある江戸時代の宿場町「木之本宿(きのもとじゅく)」。往時の面影を残す町並みを守ろうと、市は歴史上貴重な建物を国の登録有形文化財に積極的に申請している。国の文化審議会は20日、木之本宿で新たに2件の登録を答申し、登録数はこれで計6件になる見通しだ。

 木之本宿は、彦根市内の中山道から分岐し、北陸地方に向かう北国(ほっこく)街道にあった。道沿いに町家が軒を連ね、江戸時代の記録によると、大名ら身分の高い人物が泊まる「本陣」や問屋、商店などが計200軒あった。

 今回登録されるのは、町並みのほぼ中心にある旧木之本宿本陣(竹内家住宅)主屋(おもや)と、本陣の予備の宿「脇本陣」の役割を担った北部の山路酒造主屋だ。

 本陣は木造平屋建てで、周辺に現存する町家では最古の1744(延享(えんきょう)元)年に建てられた。間口が12メートルある大型の町家で、屋根の低さが古い形式を伝えているという。明治時代からは薬局を営んだ。

 一方、山路酒造は室町期の創業で、今も現役。現在の建物は木造2階建てで、1928(昭和3)年に建て替えられた。通りに面して4枚のガラスの大戸(おおど)があり、その横にショーウィンドーも設ける近代的な店構えだ。

 今回の登録は、市が進める木之本宿の町並み保存の一環。市は趣ある町並みを北部観光の拠点にしようと、昨年度から3年計画で建物の調査をしている。

 調査済みも含め、対象は約30棟。建物の断面図や平面図を作り、建築時期や構造を調べる。この中から価値が裏付けられた建物を、国の登録有形文化財に申請。昨年は醬油(しょうゆ)店や酒造の町家計3件が登録された。2007年には、昭和初期の鉄筋コンクリート造りの旧銀行も登録済みだ。

 将来は、歴史的な町並み全体を文化財として国が保護する「重要伝統的建造物群保存地区」(重伝建)の選定を目指す。重伝建は、合掌造り集落の白川郷(岐阜県)や近江商人屋敷が並ぶ五個荘(ごかしょう)金堂(こんどう)地区(東近江市)などが有名だ。

 長浜市歴史遺産課の担当者は「歴史的な建物を文化財として守ることで木之本宿の魅力を多くの人に知ってもらい、まちづくりにつなげていきたい」と話す。

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 20日の文化審議会は、東近江市建部下野町の弘誓寺(ぐぜいじ)も国の登録有形文化財に登録するよう答申した。対象は本堂など6件。

 源平合戦で知られる那須与一(なすのよいち)の7人の子が湖東地方に建てた「七弘誓寺」の一つ。現在の建物は、彦根藩主の井伊家の寄進で江戸後期に整備された。

 今回の8件の答申で、県内の登録数は459件(都道府県別で7位)となる見通しだ。(筒井次郎)

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 国の文化審議会は20日、滋賀県内の史跡3件の範囲を広げる追加指定も答申した。

 天智(てんじ)天皇の都・大津宮(おおつのみや)の中心地「近江大津宮錦織(にしこおり)遺跡」(大津市)▽徳川家康、秀忠、家光の3代の将軍が上洛(じょうらく)する際に宿泊や休憩で使った「永原(ながはら)御殿(ごでん)跡及び伊庭(いば)御殿跡」(野洲市・東近江市)▽湖東三山の古寺「百済寺(ひゃくさいじ)境内」(東近江市)。いずれも地権者の同意を得た範囲を加える。

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