拡大する写真・図版飲食宅配代行サービス「フードパンダ」を9月から日本各地で順次展開しているデリバリーヒーロージャパンのエリック・ウェイ最高経営責任者(CEO)=東京・六本木、藤えりか撮影

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 ウェブ上で注文された料理などを届ける飲食宅配代行サービスの配達員に、最低報酬を保証する動きが広がっている。その一つで、9月に日本に上陸した「フードパンダ」の日本の運営法人のエリック・ウェイ最高経営責任者(CEO)が20日、東京都内で朝日新聞のインタビューに応じた。「稼げなければ、誰も配達に応じてくれなくなる。会社同士が有利な労働条件を競うのが健全だ」と語った。

 飲食宅配代行は、日本では2016年に始めた米系大手ウーバーイーツが先行している。バイクや自転車で移動する配達員は、一般にサービスを提供する企業と雇用関係になく、労働基準法上の最低賃金が適用されず、配達数に応じて報酬を受け取る。最近は、新型コロナ禍で失職するなどした働き手が増え、配達依頼をあまり受けられず稼ぎにくくなっているとされる。

 フードパンダは、ドイツ系のデリバリーヒーローグループがアジア12カ国・地域で展開するブランド。日本では今年9月以降、名古屋や札幌、福岡など6都市で順次サービスを始めており、来年中に東京や大阪でも開始予定だ。いきなり激戦区に飛び込まず、あえて「まだ対応していない飲食店も多く、ポテンシャルがある」(ウェイ氏)エリアから進出しているという。ただ、その分、特に当初は配達員の報酬が低くなる懸念もある。

拡大する写真・図版飲食宅配代行サービス「フードパンダ」が9月に展開を始めた神戸市内での配達員の様子=デリバリーヒーロージャパン提供

 そこでフードパンダでは人工知能(AI)を使い、時間帯ごとに配達依頼の需要を予測、稼働する配達員数を需要に見合った人数にした上で、1時間1千円の最低報酬を最大2時間まで得られるようにしたという。「ゆくゆく利用者が増えれば、最低報酬よりも多く稼げるはず。それまでは続ける」とウェイ氏は話した。

 一方で、シフトは平均2~2・5時間で区切っている。「配達員の事故を防ぐため。長時間稼働すると集中力も下がって危ないですから」とウェイ氏は言う。

 ウーバーイーツは、配達員の労働組合「ウーバーイーツユニオン」が求める団体交渉を拒否しているが、ウェイ氏は「前向きに対応する。仕事を依頼する側として、意見を聞いてフェアに話し合うのが大事。配達員のコミュニティーをケアするのがフードパンダのやり方。声を聞かないと、それとも矛盾する」とした。配達員が休憩したり互いに交流したりできるよう、展開都市ごとに常設の「ライダー拠点」も設けている。

拡大する写真・図版デリバリーヒーロージャパンのエリック・ウェイCEO=東京・六本木、藤えりか撮影

 最低報酬保証は、3月から日本で展開を進めているフィンランド発のウォルトも導入している。労組の団体交渉についても、ウォルトのマリアンネ・ビックラ副社長も11月、朝日新聞の取材に「私たちはあらゆる立場の配達員との対話や議論を受け入れる」として、前向きな姿勢を示している。

 ウェイ氏は台北出身。05年から日本に住み、アマゾンジャパンやグーグル日本法人、タクシー配車大手のDiDiモビリティジャパンなどを経て20年から現職。(藤えりか