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 北海道内の新型コロナウイルスの新たな感染者が初めて300人を超えた。20日に道などは304人の感染が確認されたと発表。前日の267人を超え過去最多を更新した。新たなクラスター(感染者集団)も7件と、1日あたりで過去最多を更新。市中感染も拡大している。3連休を前に鈴木直道知事は「外出は慎重の上にも慎重を重ねて欲しい。今が正念場だ」と道民に訴えた。

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 クラスターは累計で133件、11月だけで62件を占める。

 札幌市は191人の新たな感染を発表。前日の過去最多の197人に次ぐ多さとなった。同市では3件のクラスターが発生。長期療養の「医療法人タナカメディカル札幌田中病院」(手稲区)では、市によると患者39人と看護師ら7人の計46人の感染が判明。同病院の発表では、さらに多い計67人(患者56人、職員11人)が感染したとしている。運営法人の担当者は「感染予防に努めてきたが残念だ。保健所と協力して全力を挙げて対応に努めたい」と話した。

 札幌市内では他にコールセンター(従業員10人)、ススキノ地区の接待を伴うラウンジ(従業員と利用客計19人)でもクラスターが判明した。

 道内では他に、登別市の養護老人ホーム(感染者計5人)、胆振総合振興局管内の接待を伴うスナック(同6人)、新ひだか町の日高徳洲会病院(同5人)、釧路市の事業所(同6人)でもクラスターが発生した。

 既存のクラスターでは、札幌市の特別養護老人ホーム「ドリームハウス」で職員1人の感染が分かり計105人に。北広島市の障害者支援施設で新たに2人が確認されて計97人。釧路市の市立釧路総合病院で6人増え計13人、岩見沢市の北海道中央病院で9人増え計34人、滝川中央病院で3人増え計25人。月形刑務所では1人増えて計6人、陸上自衛隊東千歳駐屯地で4人増え計20人となった。

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 「リスクを回避できるか迷った場合は、札幌市内では不要不急の外出はしないで欲しい。それ以外の地域では札幌との往来をしないで欲しい」。鈴木知事は20日夕方に急きょ報道陣の取材に応じ、3連休を前にメッセージを出した。

 そのうえで、これまでの警戒ステージ引き上げなどで札幌・ススキノ地区の人出が4割近く減り、感染経路を追えない人の割合も5割を下回る37%となったことなどを挙げ、「(効果は)数字として表れている。対策を徹底して行うことで何とか状況を改善していきたい」と述べた。

 その後会見した道保健福祉部の広島孝技監は「札幌では見えない感染が広がっている」と危機感を隠さなかった。連日クラスターが発生し、札幌だけでなく地方の振興局管内でのクラスター発生も珍しくなくなっている。「(そうした場所でも)市中に広がっている可能性がある。抑え込みを強めないと連鎖が切れていかない」(広島技監)

 クラスターが発生した施設などで感染者を把握し、隔離して他への広がりを防ぐ。そうした対策はすでに限界に来つつある。それでも道の警戒ステージは5段階のうち「3」で、札幌市だけが「4」相当だ。全道での一段のステージ引き上げについて広島技監は、「経済(活動)を保ちながら(感染を)抑えたい」とし、現時点での引き上げは否定的だった。

 ただ、19日の国の専門家会合では道について「病床が逼迫(ひっぱく)し厳しい状況」「行動制限など強い対策が求められる」と指摘している。この3連休に全道で感染が抑えられるかが今後のカギを握る。

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 旭川市では20日、同市では最多となる21人の感染が確認された。うち15人は、すでにクラスターが確認されている吉田病院の患者や看護師ら。同病院の感染者は計82人にのぼり、道内の医療機関で発生したクラスターの規模では、これまで最多だった4~5月の北海道がんセンター(札幌市)に並んだ。吉田病院での死者は、1人増えて計7人になった。

 同病院では患者だけでなく職員の感染も続いている。国立感染症研究所から医師が派遣され、リスク指導などに取り組んでいるという。

 旭川では20日発表の21人のうち、感染経路不明の感染者も4人おり、市内での感染も広がりつつある。五つの基幹病院に感染症対策用の病床約100床があるが、すでに7割弱が埋まった。市保健所の川辺仁・地域保健担当部長は「介助が必要な患者もおり、受け入れられるのは実際の数字以上に厳しく、今はギリギリの状況」と話す。入院先が決まっていない感染者が21人おり、「これまで感染者は入院させてきたが、自宅療養も検討しなければならない」(川辺部長)という。(本田大次郎)

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 北海道科学大学・秋原志穂教授(感染症看護学)の話 

 ススキノなど「夜の街」に留まらず、家庭や職場での感染が広がっている。もはやクラスター対策だけでは抑え込めない状況だ。

 10月28日の警戒レベル「ステージ2」への引き上げはほとんど効果が無かった。11月7日の「ステージ3」への引き上げで、ススキノでのクラスター発生は一定程度抑えられたように見える。だがすでに他地域に感染が広がっており、結果的に後手に回った。

 感染拡大は、密閉された建物が多いなど冬場の道内ならではの要因もあるが、国の「Go To」キャンペーンの影響も無視できない。医療現場は逼迫(ひっぱく)しつつあり、数字の上では「ステージ5」も目前で後が無い。キャンペーンの見直しや外出自粛要請など、より踏み込んだ対策を取るべきだ。(聞き手・武田啓亮)

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 札幌市は20日、新型コロナウイルス対策費約23億円を盛り込んだ一般会計補正予算案を発表した。27日開会の市議会定例会に提案する。主な内容は、患者の移送体制強化(6億8100万円)、保健所の執務室増や人材派遣会社への一部業務委託などの費用(3億7千万円)、ススキノ地区の営業時間短縮協力事業者への支援金(8億8千万円)など。(芳垣文子)

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 国の飲食店支援策「Go To イート」で、プレミアム付きの食事券(1万円分を8千円で購入可)の利用人数が、道内では21日から「4人以下」に制限される。事業を受託する道商工会議所連合会が、国や道の要請を受けて利用条件を変更した。

 ただし、5人以上で店に行った場合も、テーブルの間隔を空けたり、アクリル板で仕切ったりして4人以下の席に分かれていれば利用可能。同居家族で5人以上の場合も利用できる。

 人数制限を守らない飲食店は、登録を取り消される可能性がある。2時間超の飲食での利用は「不可」とはしていないが、控えるよう求めている。

 また、JR札幌駅の商業施設、JRタワー(アピア、パセオ、エスタ、札幌ステラプレイス)は、道などが新型コロナの集中対策期間とする27日まで、営業時間を原則午前11時から午後8時に短縮する。飲食などの一部店舗を除き、午前10時の開店を1時間遅らせ、午後9時の閉店を1時間早める。道などからの時短要請はないが、運営会社の札幌駅総合開発は「お客様と従業員の感染リスクを減らす」としている。(長崎潤一郎)

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