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 新型コロナウイルスの集団感染が起きた新潟市西区の介護施設で20日、いったんは陰性とされた入所者8人の感染が分かり、感染者は計51人となった。これまで必死に集団感染を防いできた県内の高齢者施設は、さらに警戒を強めている。専門家は従来と違う対応の必要性も呼びかけている。

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 「かからないのが第一。きっちりしないと蔓延(まんえん)してしまう」。担当者がそう話す特別養護老人ホーム「うらだての里」(三条市)は入所者と家族らの面会方法を“リモート方式”に変える。感染の恐れがある直接面会をやめ、別室にいる家族とタブレット端末を用いて会話する方法だ。

 新潟市西区の介護施設で集団感染が起きたことを受け、対策を強めた。入所者約100人(短期含む)に、職員は約120人。「持ち込まない、持ち込ませない」を合言葉に、在宅サービス利用者も含めて「感染者が急増している首都圏との往来は控えて」と求めている。対象の地域を今後広げる予定だ。

 介護中のマスク着用や消毒はもちろん、職員には「体調がおかしければ休むように」と伝えており、状況次第で人手不足の恐れもある。「(元気な)職員に時間外手当をつけてお願いしたり、提供するサービスを取捨選択したりすることも必要になる」と見通す。

 国内外でウイルス感染が広がって1年近く。県内では長く、高齢者施設や医療機関での集団感染を防いできた。「皆さんが思っている以上に職員は感染に気をつけている。ただ、注意していても感染する。陽性になっても責められない」と話す。

 ほのぼの小千谷福祉会(小千谷市)は、隣接するグループホーム事業とデイサービス事業で担当職員を分けている。一方で感染者が出ても影響を抑えるためだ。

 入所者は認知症の高齢者18人で、職員も43人という小規模施設。感染があった場合、病院搬送までの期間を少ないスタッフで介護し続ける事態が予想される。長谷川有理事務長は「少数精鋭の職員で介護する方法を考えている」と話した。(杉山歩)

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 介護施設で必要な対策は何か。新潟県十日町市で介護施設職員に感染予防の研修をしている新潟大医歯学総合研究科の白倉悠企・特任助教は「介護施設で感染のリスクが高まる要因は、いくつもある」としたうえで、「感染を持ち込まない、広めない、持ち出さないことが大切」と話す。

 「3密」の回避や消毒、職員の体調管理といった基本動作の徹底に加えて、これまでの対応を変える必要性も指摘する。利用者が発熱した場合について、「まずノロウイルスや肺炎を疑うだろうが、今は新型コロナを疑ってほしい。複数の入所者に熱があれば早期に検査し、新型コロナウイルスが施設に入ってきていないかを見つけるべきだ」と話す。(長橋亮文)

白倉さんが挙げる介護施設の危険と対策

(危険)

・限られた空間に人が集まりがち

・冬場は室温が下がり、換気しづらい

・ケアの時に体が接する

・難聴の人に大声で話すので、つばが飛ぶ

・要介護度の高い人は症状を訴えづらく、異変の察知が遅れる恐れ

(感染防止策)

・ルールを決めて、感染の恐れがある施設外の場所に行かない

・体温測定などで職員のこまめな健康管理

・具合が悪い職員は、軽症でも出勤しない

・医療や介護の従事者は早めに検査を受ける

・食堂では距離をあけたテーブル配置を

・食事の介助は正面を避けて横から

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 クラスター(感染者集団)が起きた新潟市西区の介護施設では、新たに入所者8人が市のPCR検査で陽性となった。陰性から陽性に転じた経緯は不明だが、市は「ウイルスの潜伏期間に差がある。想定内」としている。

 市によると、8人は70~90代以上の女性。発熱などがあるが軽症で、全員が20日中に入院予定という。18日までのPCR検査では陰性だったが、同日夜以降に発症したため、改めて市が19日にPCR検査をした。

 施設内で初めて感染者を確認したのは17日。8人の感染時期が、その前か後かは現時点では不明という。野島晶子・市保健衛生部長は介護施設の対応について「今後、検証の必要がある」と話した。20日の記者会見時点では、新たに発症した入所者は、他にはいないという。

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 県と新潟市は20日、このほか4人の感染を確認し、発表した。このうち新潟市北区の40代男性は15日に熱っぽさを感じ、19日に医療機関で抗原検査を受けた。関東圏の感染拡大地域と往来した人と、マスクを着けずに接触していたという。

 県によると、残り3人は柏崎市の2人と刈羽村の1人。同市によると、2人は市立学校の20代女性教諭と50代男性校長。他に複数の教員が発熱しており、同校は当面休校する。同村の1人は20代男性。県内の感染者は286人(実人数。再陽性除く)となった。

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 県は20日の新型コロナ対策本部会議で、飲食店の支援策「Go To イート」で政府が求める人数制限について、当面は見送ることを決めた。花角英世知事は「様子をみて、制限を発動するかどうか状況を注視していく」と述べた。

 県は飲酒を伴う会食で感染が広がる例がみられるとして、発熱などの症状があれば参加しない、症状が消えても2日間は参加しない、県外の飲み会に参加したら県内での参加は慎重に判断――などの対策を呼びかけている。

 県は同日、県独自の警報も当面は発令しない方針を決めた。「60人以上が入院」の基準を超えたが、新潟市西区の介護施設の感染者が多くを占めるため。

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